HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 10 Jan 2013 00:21:05 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:高齢者の医療 負担の実態をまず語れ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

高齢者の医療 負担の実態をまず語れ

 高齢者が増えれば医療を必要とする人も増える。高齢化で膨らむ医療費をどう賄っていくのか、大きな課題だ。今後は、国民の負担増も考えねばならない。政府はその現実をまず語るべきだ。

 また逃げるのか。安倍政権には医療制度を改革する強い意志がみえない。

 七十〜七十四歳が医療機関で払う窓口負担は、特例的に一割に据え置かれている。それを維持する費用約二千億円は税で賄っている。

 厚生労働省は法律通り二割への引き上げを検討しているが、政府・与党は夏の参院選への影響を心配して特例措置を当面続ける方向だ。二割負担は小泉政権時に決められたが、高齢者の反発を恐れて当時の自公政権や民主党政権も据え置いてきた。

 だが、負担増を考えざるを得ない台所事情がある。七十〜七十四歳の窓口負担額は年平均で四万七千円だ。七十五歳以上より三万円、六十代後半より四万円も少ない。負担の公平性に疑問がある。

 医療費全体を見回しても負担のあり方に問題がある。国民が医療に使った費用は二〇一一年度、約三十八兆円になる。団塊世代が七十五歳以上になる二五年度は五十兆円を超す見通しだ。

 医療費をどうやりくりするか。高齢者の医療費は本人の保険料や窓口負担以外に、公費(税)や現役世代の保険料が支えている。

 会社員が入る健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)は、加入者から集めた保険料などの四割前後を高齢者医療に回している。その負担は「限界にきている」(協会けんぽ)という。

 後期高齢者医療制度は、七十五歳以上を従来の医療保険から切り離したことで「姥捨山(うばすてやま)」と批判を浴びた。だが、制度改革の狙いは現役世代がしっかり高齢者を支えようとするものである。問題にすべきは高齢化でその負担が増えていることだ。

 高齢者に無駄なく医療を利用してもらうことも必要になる。入院治療より費用を抑えられる在宅医療を利用したり、軽い病気などは自己負担を増やすなど国民に自重を求める覚悟が要る。

 人口減が進む今、全世代が公平に負担し合う制度への改革が急務だ。ところが政府・与党は、医療費の厳しい現状を明確に示していない。

 制度の実態を率直に説明しないで国民の理解は得られない。医療を支えたいとの思いは共有しているはずだ。

 

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