HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 07 Jan 2013 23:21:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 大英博物館のニール・マクレガー館長が書いた『100のモノ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 大英博物館のニール・マクレガー館長が書いた『100のモノが語る世界の歴史』(筑摩書房)は石器時代から現代文明まで、文字通り百点の収蔵品で人類史を俯瞰(ふかん)した労作だ▼エジプトのロゼッタストーン、パルテノンの彫刻、ガンダーラの仏像にインカの黄金像といった至宝が連なるそのリストの、その九十九番目は何とクレジットカードである▼誰の財布にでも入っていそうなプラスチックの板切れが、なぜ世界史を語るモノなのか。マクレガー館長は、一九五〇年代に米国で登場したこのカードによって<史上初めて、銀行による信用供与はエリート層の特権ではなくなった>から、また<この新しいお金は、国家を超越しており、世界を征服したかのように見える>からと説明する▼貨幣に信用をもたらすのは国家。だが、クレジットカードを通用せしめるのは世界的な金融機関の信用のネットワーク。金貨から紙幣へ、さらに高度な電子技術が埋め込まれたプラスチック片へ。なるほど国境を越え、誰もが使える「新しいお金」の誕生は世界史的事件だろう▼そのカードが、カトリックの総本山バチカン市国で使えなくなっているという。不正金融活動への監視が甘いと、イタリアの中央銀行が信用網から弾(はじ)き出したためだ▼まさか、ユダヤの聖典の言葉<金はすべてを浄化する>を信じている訳ではなかろうに。

 

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