HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 39242 Content-Type: text/html ETag: "8624ef-23d2-dbf4a700" Cache-Control: max-age=1 Expires: Tue, 08 Jan 2013 03:21:06 GMT Date: Tue, 08 Jan 2013 03:21:05 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2013年1月8日(火)付

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 昔、ある高僧のところへ年始に来た男が、何か書いて下さいと頼んだ。僧はさらさらと「親死に、子死に、孫死ぬ」と書きつけた。男が怒ると僧は静かに「親が死んでから子が死ぬ、子が死んでから孫が死ぬのがいいので、逆になったら大変なことだ」▼男は納得して大事に持ち帰ったそうだ。以上は国語学の故金田一春彦さんが書いていた話だが、その「逆」を招く最たるものは戦火だろう。「平和な時には子が父の葬(とむら)いをする。しかし戦いとなれば父が子を葬(ほうむ)らねばならぬ」と、これは古代の史家ヘロドトスの書中にある。いま真っ先に浮かぶのはシリアだ▼内戦の死者は6万人を超えたと、年明け早々に国連高官が発表した。これまでは推計で数万人としてきたが、詳細な検証を踏まえて初めて明確にした▼うち5万9648人を実名でリスト化できたそうだ。大勢の子らの名があるに違いない。その名で呼ばれた短い生涯、残された小さい墓を思えば胸は痛む。若者も多かろう。戦火はもうすぐ2年におよぶ▼発端は「アラブの春」だった。民主化要求を政府が力で押さえ込んだ。だが今や政府軍、反政府軍とも周辺国からの肩入れで戦っているようだ。イスラムの宗派が絡み合って、糸は容易に解けそうにない▼古今の独裁者の例にもれず、アサド大統領は自分が生き延びることしか頭にないらしい。そうするうちにも犠牲は膨らみ、幾十万の難民が流浪する。一刻も早い退陣しか、民衆に「平和な時」が戻る道はあるまいが。

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