HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 53705 Content-Type: text/html ETag: "d0a8e-1f28-4d2793c6a0631" Expires: Fri, 04 Jan 2013 21:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 04 Jan 2013 21:21:05 GMT Connection: close 転機の日本政治 試される安倍政権の統治能力 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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転機の日本政治 試される安倍政権の統治能力(1月5日付・読売社説)

 ◆参院選前に着実に成果を示せ◆

 政権交代して迎えた今年を展望すれば、やや明るい兆しも見える。

 安倍政権の発足前後から、超円高が修正され、株価も急上昇した。経済政策への期待感がうかがえる。新年初日の取引だった4日の大発会は、ほぼ全面高で東日本大震災前の水準を回復した。

 安倍首相は「強い日本」を取り戻し、ほぼ1年ごとに首相が代わる政治に終止符を打てるのか。

 期待が失望に変わると7月の参院選でたちまち国民から厳しい審判が下されよう。首相は迅速に成果を上げていかねばならない。

 ◆バラマキ復活させるな◆

 安倍首相は年頭の記者会見で「巳年(みどし)のヘビは商売繁盛のシンボルでもある。景気が上向いていくよう、経済再生の大きな一歩をしるせるよう頑張る」と語った。

 緊急経済対策をとりまとめ、大規模な補正予算案を国会に提出する。日銀と連携して大胆な金融政策を打ち出す意向も表明した。

 まずは、もたつく景気を回復軌道に乗せることが必要だ。

 来年度予算編成については1月中の政府原案決定を目指すという。国会審議の難航で予算執行が遅れてはなるまい。政府・与党は、本予算の早期成立にも全力を挙げてもらいたい。

 安倍政権は、民主党の目玉政策だった「高校授業料無償化」の見直しや、農家に対する戸別所得補償制度の廃止など、矢継ぎ早に政策転換の方針を打ち出している。バラマキ政策を修正するのは妥当な判断だと言える。

 ただし、形を変えたバラマキの復活になっては困る。産業競争力を高める成長戦略を再構築することが肝要である。

 麻生副総理・財務相は、新規国債発行額を44兆円以下に抑えるとする民主党政権の目標にはこだわらない意向のようだが、財政規律との両立を忘れてはならない。

 ◆選挙制度改革に本腰を◆

 今月末に召集される通常国会では、国会運営能力が問われる。参院選までは衆参のねじれが続く。政府・与党は、政策ごとに部分連合を実現し、法案を成立させることに専念する必要がある。

 もはや待ったなしの課題が、衆院の選挙制度改革である。

 自民、公明、民主3党は、定数削減を含む抜本改革を検討することで一致している。現行の小選挙区比例代表並立制では、得票数と獲得議席数の隔たりが大きく、政治が安定しないなど、様々な問題点が指摘されている。

 制度をどう改善するか、各党は早急に議論を開始すべきだ。

 選挙制度には党利党略が絡むため、政党協議で議論を出せないのであれば、有識者による議論の場を設けることも考えたい。

 一方、安倍政権は、自民党内あるいは与党間、自治体との間で調整が必要な懸案も抱えている。

 その一つは環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題だ。

 自民党内では、農業団体が強く反対していることもあって、参加への賛否が割れている。これを念頭に、石破幹事長は「参院選までに党として何らかの対処方針を決めないといけない」と述べた。

 だが、「参院選まで」と悠長に構えていては手遅れになる。交渉参加へ党内をまとめることは急務だ。

 TPPに参加する11か国との交渉の席につかなければ何も始まらない。交渉力を発揮し、国益にかなう貿易ルール作りを進めるべきである。

 経済成長のために、安全性が確認された原子力発電所の再稼働は欠かせない。安倍政権は、自治体の説得など様々なハードルを越えなければならない。

 参院選で与党が過半数の議席を獲得すれば、憲法改正や集団的自衛権の行使を巡る問題にじっくりと向き合う環境が整うだろう。その際には、改めて公明党との調整力が試される。

 ◆公明党との調整も重要◆

 自民党は昨年春に第2次憲法改正草案を取りまとめた。集団的自衛権の行使についても、党内でほぼ足並みがそろった。公明党はいずれも慎重な構えだ。

 しかし、日本の安全保障環境は激変している。中国が尖閣諸島を巡り、領海だけでなく領空まで侵犯し、北朝鮮が米本土への到達も可能な長距離弾道ミサイルの発射に成功した。そんな危機から目をそらしてはならない。

 内外の情勢の変化に対応しきれなくなっている憲法は改める必要がある。日米同盟強化のための手立てを講じることも当然だ。

 安倍政権には、憲法改正や集団的自衛権の行使にも果敢に取り組む政治力が求められる。

2013年1月5日01時46分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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