<迫る規制 見よ 銃規制の面々を!>。そんな文句とともに並べられた顔写真は、オバマ大統領に、ヒトラー、スターリン…。オバマ氏再選を阻もうと、米国の銃関連会社が出した広告だ▼二十人の児童を含む二十六人が犠牲になったコネティカット州ニュータウンの銃乱射事件。事件の直後、銃規制に強く反対する全米ライフル協会(NRA)が、「二度とこういうことが起きないよう、有意義な貢献をする準備がある」との声明を出した▼ついにNRAも規制に与(くみ)する時が来たかと思っていたら、違った。事件から一週間後に記者会見したNRAの幹部は言った。「銃を持った悪人を止められるのは、銃を持った善人だけだ」「全米のすべての学校に、銃を持った警備員を配置すべきだ」▼NRAの頑(かたく)なな態度の背後にあるのが、銃を規制しようとするのは、それこそ独裁者の所業という主張である。日本人には理解しがたいが、米国は銃を持った市民が先住民たちから土地を奪い、独立戦争を闘って、礎を築いた国。銃は、まさに独立と自由の象徴なのだろう▼だが今、自由を守るという名目で、不必要なまでに高性能な銃が売られ、子どもたちまでもが次々犠牲になっていく。銃の犯罪を防ぐために、より多くの銃があふれ、武器産業が潤う▼ニュータウンの悲劇は、そんな米国の歪(ゆが)んだ姿を変えられるのだろうか。