HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 25 Dec 2012 20:22:32 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 木の枝などにぶら下がって、木枯らしに揺れているミノムシは…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 木の枝などにぶら下がって、木枯らしに揺れているミノムシは、今の季節の風物詩だった。過去形で書くのは、ミノをつくるオオミノガの幼虫に寄生するハエが繁殖し、ミノムシが激減したためだ▼作物を食い荒らすオオミノガを駆除するために中国で放たれた寄生バエが、一九九〇年代以降、侵入したらしい。一部の県では、ミノムシは絶滅危惧種になってしまった▼年の瀬も迫り、新聞に「今年の十大ニュース」が掲載される時期になった。ミノムシを食い物にする寄生バエを連想させる陰惨な事件は、十位以内に入るのは確実だろう。六人の遺体が見つかり、なお三人が行方不明になっている兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件だ▼これだと狙いを定めた家族に取りつき、暴力で心を支配し財産を奪い尽くす。不用になれば、ごみのように簡単に命を奪う非情さに慄然(りつぜん)とさせられる事件だった▼子どもが親を痛めつけ、きょうだい同士で殴り合うようになったのはなぜか。仲が良かった家族がどうして、離散に追い込まれたのか。主犯の女が警察の留置場で自ら命を絶ち、日本の犯罪史上に残る事件の真相解明の道は事実上、閉ざされてしまった▼裁判で真実を知りたいと願っていた犠牲者の遺族を裏切る兵庫県警の大失態である。共犯者に本当のことを語らせ、事件の核心に一歩でも迫ることしか償いの道はない。

 

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