数学嫌いが数学のことを考えると、頭が痛くなる−。最近の米シカゴ大などの研究によると、どうやら錯覚ではないようだ。数学に強い苦手意識を持つグループ、そうではない人たちに単語と数学の問題を解いてもらった。脳の反応を調べた結果が興味深い▼苦手な人が数学の出題を予告する合図を見ると、単語の出題予告と比べて肉体的な痛みを感じる脳の領域がよく動いたという。数学に対する緊張や恐怖が、痛みの原因になっているようだ▼数字が多く、専門的な経済用語が出てくる記事に苦手意識を抱くご同輩は少なくないだろう。脳が拒否反応を示し、読み飛ばしてしまうこともあるが、それでは困る▼今週、発足する安倍政権は、日本経済を長年むしばんできたデフレからの脱却を最優先課題に掲げ、財政拡大路線をひた走ろうとしている。大型の金融緩和を迫る圧力に屈した日銀は、物価目標を2%に引き上げる方向で検討に入った▼十兆円規模の大型補正予算などの景気対策も合わせた「アベノミクス」に対し、株価上昇や円安の進行など、マーケットは好反応を示している。ただ、エコノミストら経済のプロの評価は真っ二つに割れている▼戦後の経済政策は大きな岐路に立っているのは間違いない。専門家任せではなく、自分の頭で考えたい。数字を見ると頭が痛くなるなどと、逃げている場合ではない。