HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 40014 Content-Type: text/html ETag: "e2f858-23f8-c42ec700" Cache-Control: max-age=3 Expires: Mon, 24 Dec 2012 01:21:06 GMT Date: Mon, 24 Dec 2012 01:21:03 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年12月24日(月)付

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 数あるクリスマスソングの中でも「ホワイト・クリスマス」の人気はゆるぎない。え、知らない、とおっしゃる向きも、出だしを聴けば、ああこれか、と思うだろう。世界で一番多くレコードが売れた、という説もあるほどだ▼和製では山下達郎さんの「クリスマス・イブ」がゆるがぬ定番らしい。バブル経済真っ盛りのころ、新幹線のCMに流れた。♪きっと君は来ない……の詞と曲に、甘い思い出、切ない記憶が重なる中年世代もおられよう▼〈待つ人はつねに来る人より多くこの街にまた聖夜ちかづく〉。歌人小島ゆかりさんの一首に、待ち合わせスポットの人模様を想像してみる。来る人は一人ずつやってきて、待つ人とともに街に消える。年の瀬の雑踏には、あたたかさと、冷たい風が混じり合う▼白樺派の詩人だった千家元麿(せんげもとまろ)の「三人の親子」という一編がふと浮かぶ。大晦日(おおみそか)の晩、母子3人が往来から、ガラス戸の中の餅をじっと眺めている。10分ばかり立ち尽くして、買わずにそっと歩み去る。そんな詩だ▼人は誰も見ていなかったが、〈神だけはきつとそれを御覧(ごらん)になつたらう〉と詩は続く。店のウインドーにせよ家々の窓にせよ、ガラスの向こうの華やぎや幸せが、胸にしみ入る時節でもある▼天気予報は寒波を告げて、各地でホワイトクリスマスの光景が広がるという。しかし聖夜の団欒(だんらん)も、たしかな暮らしがあってこそ。広がる格差、進まぬ復興――。神ならぬ政治は、しかと「御覧」になっているであろうか。

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