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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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寒風の中、幼子を連れたお母さんたちが談笑していた。「去年は抱っこしてたの。重いけど温かくて」。湯たんぽ代わりに連れ回す親はいまいが、乳児の体温は幼児より0.5度近く高いらしい▼この季節、子の「ぬくもり」には気をつけたい。流行期入りが発表されたインフルエンザだけではない。発熱は緩くても、嘔吐(おうと)と下痢がひどい感染性胃腸炎が暴れている。患者の6割が5歳以下、保育園や病院で集団感染が続き、お年寄りには死者も出た▼ここ10年では2006年に迫る大流行である。厄介なことに、原因のノロウイルスに変異型が現れ、免疫のない人が多い。感染を防ぐには、まめな手洗いと、汚物の処理を徹底するしかないという▼インフルと同じく、このウイルスも寒くて乾いた冬を好む。脱水症状に陥ると「おなかの風邪」では済まなくなる。さっきまで走り回っていた子がぐったりするさまは、はた目にもつらい▼かつて「子どもは風の子」だった。寒さに負けず外で遊ぼう、丈夫な体をつくれば病気のほうから逃げていくと。されど昨今、赤いほっぺで戯れる姿をめったに見ない。対をなす「大人は火の子」も怪しくなった。お出かけを楽しむ元気な中高年が増えている▼どんどん腰高になるわが人口ピラミッドの、下の方で縮こまる世代を思う。親にも国にも宝物である。あらぬウイルスにいじめられぬよう、いま一度、手洗いはしっかり。冬至を過ぎ、本日から昼は伸びるが、募る寒苦にはしかと備えたい。