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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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「もう一度チャレンジしてみろという、ファンの声を無にできない」。長嶋茂雄さんが巨人軍の監督に復帰したのは20年前である。久々のユニホーム姿にG党は燃えた▼新味こそないが経験は生きる。2度目とはそういうものだろう。スター選手からすぐ指揮官に転じ、最下位の屈辱までなめたミスターへの期待もそこにあった。片や5年ぶりに首相を務める安倍晋三氏の身辺に、そうした高ぶりはない▼新政権を見る目が熱狂から遠いのは、誰より氏がご存じだ。きのうの記者会見。「自民党への厳しい視線は続く」と語り、谷底からのスタート、危機突破内閣と、険しい言葉を連ねた。失敗は許されない、そんな緊張感がにじむ▼小選挙区制の下、民意の振り子は何度でも、時の政権を吹き飛ばすだろう。61%の議席を占めた自民党も、各党の人気を映す比例区の得票率では、大敗した前回とさして変わらぬ27%台にとどまった。ここはおごることなく、経済や外交に当たるのが得策だ▼一方、投票率は戦後最低の59.32%に沈んだ。明日の暮らしを脅かす難題に囲まれながら、政治に白けているかのような有権者は気になる。だが、リーダーが妙な熱狂から遠いのは悪いことではない▼首相への復帰は、戦後では吉田茂の例があるだけだ。日本の主権回復とも重なる吉田の2度目は、6年を超す長期政権となり、軽武装で復興と成長にひた走る路線が敷かれた。これぞ保守本流である。安倍氏には、そちらもまねしてほしいのだが。