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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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冬の味覚でもトラフグの白子(精巣)は別格だろう。塩をして焼けば、外は香ばしく中は濃厚、スダチを搾るだけで至福の味わいだ。財布と相談の上、早春までの旬にぜひ食したい。この白い宝石、大量生産で身近になるかもしれない▼東京海洋大などが先ごろ、トラフグのオスだけを殖やす技を開発したという。クサフグを代理親に、オスばかりできる精子を持った「超オス」を作った。「精巣工場」とでも呼ぶべき、究極の産み分けだ▼トラフグのオスがメスより3割ほど高いのは「白子代」。超オスが出回れば、白子の価格革命である。美食のために自然の摂理をいじることになるが、養殖場限りの営みなら天も許してくれよう▼ヒトに関わる摂理はより繊細で、男児の出生比率は女児を5%ほど上回る。病気や戦争など、男子には早世の理由が多い。ゆえに、婚期の男女を同数にする「神の配慮」が働くのか。フグと違い、これに障ると天罰が下りかねない▼米サイエンス誌の北京駐在記者、マーラ・ヴィステンドール氏は近著『女性のいない世界』(講談社)で、中国の若者が暴れるのは一人っ子政策の負の遺産と指摘する。「稼げる息子」を望んで女児の中絶が増え、あぶれた男子の心がすさむ結果だと。一般に、男の比率が高すぎる社会は暴力的になるらしい▼さて、性比の不均衡といえば、わが国会である。直近の衆院議員で女性は11%、主要国の最低レベルだ。候補者にもよるが、あすの一票で何とかできないものか。