HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 14 Dec 2012 00:21:50 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:国民審査 憲法の番人を見極めて:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

国民審査 憲法の番人を見極めて

 最高裁判事の国民審査は、国民が司法を直接チェックする大事な機会だ。どう判断していいのか、困るのも現実だろう。審査公報などをもっと充実させ、有権者も権利を積極的に行使してほしい。

 「国民は最高裁判事を罷免できると憲法に書いてあります。でも、情報が足りないから、その力を国民は知らずにいるのです」

 選挙での「一人一票」の運動をする升永英俊弁護士はそう語る。一票の格差が二倍あると、住む地域によって、「〇・五票」しか持てない人が出る。その地域格差を完全になくそうというのが、「一人一票」運動だ。

 最高裁は衆院選で二倍超、参院選で五倍超の格差を「違憲状態」とする判決を出した。

 「主権者たる国民の多数決と国会議員の多数決は、一致せねばならないはずです。それを反映できるのは、人口比例選挙しかない。でも、最高裁は完全に平等になる『一人一票』と明言しませんでした。だから、私たちは心を鬼にして、判事全員に『×』を投票するよう呼び掛けているのです」

 どんな価値観で判断するかは、有権者の自由だ。国民審査は不信任票が過半数に達すると、判事罷免となるダイナミックな仕組みでもある。問題なのは、大半の国民が判事をよく知らないままで、審査が形骸化していることだ。

 最高裁は長官と判事十四人の計十五人で構成されるが、今回の審査の対象は十人である。だが、名前を聞いても、よほど法曹界に通じていない限り、人物像は分からないだろう。

 有権者に配られる審査公報には、略歴や関与した裁判、心構えが簡単に記されている。だが、まだまだ“顔”が見えるまでには到達していない。

 「憲法の番人」と呼ばれる大事な役割を担うだけに、判事の情報を国民にもっとわかりやすく公開すべきである。さまざまなメディアを通じて発信する努力も尽くしてほしい。

 米国では大統領に指名された連邦最高裁の判事候補者は、上院議会の承認を受ける。その際には公聴会で、さまざまな質問を受け、チェックされる。

 それに比べて、内閣が任命する日本の最高裁判事の選任過程は、ブラックボックスである。有識者らで任命諮問委員会をつくってはという案もある。最高裁判決は国民生活に直結する。司法への信頼を高めるため、任命段階での透明化も大きな課題だ。

 

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