HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 14 Dec 2012 03:23:11 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 野球場の案内係は、観客を守るための大切な道具を持っている…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 野球場の案内係は、観客を守るための大切な道具を持っている。警笛だ▼ナゴヤドームを例にとれば、場内の百人ほどの案内スタッフがプラスチック製の黒いホイッスルを持っている。ファウルボールが客席に向かえば、一斉に力強く吹く。ただちに落下地点に駆けつけ、お客さんにけががないか確かめる▼世の中には、警笛を吹くのが仕事の大事な一部という職業がある。警察官、運転士、駅員、サッカーの審判…。危険が迫ること、不正があることをすばやく見つけ、注意を促す。だから英語で笛を吹く人を表すホイッスル・ブロワーという言葉には、「内部告発者」という意味がある▼福島原発の収束作業現場から伝わってくる被ばく隠しや偽装請負。そんな記事を読むたび疑問に思うのは、東京電力の労働組合はあそこで働く人たちのために何をやっているのかという疑問だ。働く人を守る、しかも同じ現場で汗を流す人々のために、警笛を鳴らしているのか▼中部電力の労組は、民主党の候補者に支援と引き換えに、原子力の平和利用推進を盛り込んだ政策協定を結ばせたという。福島の惨事を見て電力のプロとして何も感じないのか。業界の利益を守ることしか考えないのなら、労働組合の社会的な意義はどこにあるのか▼プロだからこそ、組織の内部にいるからこそ、社会に向かって吹きうる警笛があるはずだ。

 

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