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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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きのう、2012年12月12日はいわば12の日だった。西暦の年月日が同じ数になる日はもう22世紀までない。この種の並びに無頓着な向きにはどうでもいい話だが、星占いの十二宮(きゅう)で知られる通り、12は「宇宙の秩序」を表す数でもある▼天空の秩序に一枚かもうと考えたのか、北朝鮮が人工衛星と称してミサイルを発射した。10分で沖縄県上空を通過し、ほどなくフィリピン沖に達したという。国営放送は、歓喜に震えるあの調子で「衛星は軌道に乗った」と伝えた▼10〜29日と予告していた期間内では早めの打ち上げだ。自らの選挙に専心したいあまり、「さっさと上げてくれるといい」と放言した官房長官殿が、同じ口で「国民の皆さんは冷静に」と呼びかけた▼春と違い、まともに飛んだように見える。核開発を急ぐ独裁国家がミサイルの力もつけているとなれば、冷静になれる人ばかりではない。それぞれ衆院選、大統領選のさなかの日韓で強硬論が勢いづき、東アジア情勢は険しさを増すかもしれない▼北が軌道に乗せたと誇るモノは、目的で呼ぶなら「挑発衛星」でしかない。それは、国際社会の非難を連れて金王朝の空に戻って来よう。飢えて凍える民をよそに、なけなしの体力でとんがるハリネズミ国家。困ったものだ▼発射から4時間あまり、京都の清水寺で「今年の漢字」が墨書された。ロンドン五輪や金環日食にちなんで「金」だった。めでたく輝く色にすがりたい昨今ではあるが、「金」で曇る年の瀬もある。