老後の生活の基盤が公的年金です。高齢化で受給者が増える一方、支える若者たち現役世代が減っています。制度の安定には現役世代の信頼が不可欠です。
今の年金制度は経済が成長し続けることを前提としている。それが時代に合わなくなっていることをまず自覚すべきです。
民主党の最低保障年金と所得比例年金を組み合わせた制度は、実現にはいずれ消費税の追加増税が必要です。しかも月七万円の最低保障額は経済成長が前提です。
自民党は現行制度を改革する考えです。自公政権だった二〇〇四年の改革で「百年安心」と胸を張りました。こちらも保険料の運用利回り4・1%、賃金上昇率2・5%と高成長で考えていました。
しかし、低成長に少子化が重なり制度の支え手も減る時代です。なんとかやりくりするしかない厳しい時代なのに、将来をバラ色に描かれても信用できない。若者たちの安心につながっていません。
別の不安も若者たちを襲っています。非正規雇用の増加です。低収入で雇用も安定しないだけでなく、正社員のように厚生年金にも加入できない人たちがいる。保険料が払えず国民年金に加入できない人には将来、無年金や低年金の恐怖が迫ります。
不安を解消するには、だれでも働いて保険料を納めれば、生活できるだけの年金がもらえる制度に改めることです。
そのためには現実の経済状況を踏まえた制度の将来見通しを出す。政治は厳しい現実を率直に語るところから始めるべきです。非正規への厚生年金適用の拡大や制度の一元化など、だれでも加入できなければ安心は生まれません。
社会保険方式の現行制度は保険料を出し合いお互いを支える共助の考え方で分かりやすい。現行制度の改革が現実的です。
ただ、基礎年金の半分は税で支えています。未来を見通すと税負担を増やす方向を考えざるを得ない。どこまで負担し合うのか考え方を決めるべきです。
いたずらに給付をカットすることは危険ですが、収入のある高齢者の年金を減額して世代内の格差をなくす議論も必要です。
投票率の高い高齢者を優遇するような政策では信用されません。
若者にとっても年金は自分たちの将来の安心の問題です。政治を動かすには、意思表示があってこそです。ぜひ投票してほしい。
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