HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 40139 Content-Type: text/html ETag: "cacdda-23ca-c81f2a00" Cache-Control: max-age=5 Expires: Tue, 11 Dec 2012 20:21:10 GMT Date: Tue, 11 Dec 2012 20:21:05 GMT Connection: close
大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
|
決めたからには、急がば回れを実証しようじゃないか。米球界で活躍する夢をしばし封じ、日本ハムに入る花巻東高の大谷翔平投手にエールを送りたい。入団の利点を、情よりデータで説かれての翻意である▼地元岩手での記者会見。「日本で恩返しができれば」と語る18歳を、51歳の栗山英樹監督が神妙に引き取る。「驚くような成功をさせてあげたい」。打撃にも秀でた逸材を、投打の二刀流で育てるという。殺し文句は「誰も歩いたことのない道を歩いてほしい」だった▼大谷君の甲子園は、春夏とも1試合で終わっている。被災地の期待を背負った昨年夏の帝京戦。左足の痛みをおして投げたが7―8で散った。栗山氏は解説者として、震災後から彼を取材し、このゲームも間近で観(み)た▼「大谷君の足は悲鳴を上げている……初めての甲子園、思い切り投げたいだろうに、持っているすべての技術を使って必死に一つのアウトを取っていく」。大会を顧みる『2011年、特別な夏』(日刊スポーツ出版社)に非凡さを記した▼再会の場はなんと入団交渉。この奇遇、強運を生かした栗山氏の「好かれる力」は侮れない。不調でも4番で使い続けた中田翔選手がシーズン終盤に活躍するなど、選手との信頼関係は厚い▼大谷君はここまで良縁に恵まれた。北海道でも強打のエースとして「驚くような成功」を狙えばいい。どの道を行くにせよ、若さは「驚くような成長」を約束している。大丈夫、大リーグは逃げも隠れもしない。