HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52190 Content-Type: text/html ETag: "1003e6-1821-4d0824fa0c233" Expires: Mon, 10 Dec 2012 21:21:12 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 10 Dec 2012 21:21:12 GMT Connection: close 原発と活断層 科学的な安全性の判断を貫け : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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原発と活断層 科学的な安全性の判断を貫け(12月11日付・読売社説)

 原子力発電所の安全性の確保を従来にも増して優先する強い姿勢を示したと言えよう。

 日本原子力発電敦賀原子力発電所(福井県敦賀市)の原子炉直下にある断層(破砕帯)は、「活断層の可能性が高い」との見解を、原子力規制委員会の専門家会合がまとめた。

 敦賀原発には2基の原子炉があり、現在、定期検査で停止している。田中俊一委員長は「今のままでは再稼働の安全審査ができる状況にはない」と述べた。

 2基の再稼働は難しくなったと言える。日本原電にとっては、極めて厳しい見解である。

 専門家会合では、島崎邦彦委員長代理ら地震、地質学の専門家5人が現地調査を踏まえ、地形や掘削データに基づいて議論し、全員の意見が一致した。

 活断層上の原発建設は、政府の安全指針で認められていない。地面がずれて、原子炉建屋の安全機器が損傷しかねないためだ。

 今回、問題となった断層は2号機の原子炉直下を通っている。さらに以前から存在が指摘されていた原子炉脇の活断層についても、問題視する声が相次いだ。

 日本原電は、新たな安全データを示し、規制委の評価を覆すことができない限り、原子炉を止めたままにしておくしかない。廃炉の可能性も排除できないだろう。同じ敷地内での2基の新設計画にも、慎重な判断が求められる。

 敦賀原発の活断層を巡っては、旧原子力安全・保安院も5年以上前から議論していた。しかし、運転停止などの措置は講じなかった。詳しい調査を指示したのは、昨年の東日本大震災後だ。

 東日本大震災で日本列島の地層状況が変わり、各地で地震が起きやすくなったとの見方がある。原発の地震対策は、一段と重要になっている。

 このため、規制委が関西電力大飯原発など6か所の原発で、独自に活断層の詳細な調査に乗り出したのは理解できる。今後も、厳しい評価が続く可能性がある。

 重要なのは、客観的データに基づいた科学的な判断だ。

 今回の評価について、規制委の島崎委員長代理は「日本原電の詳細な調査があり、判断できた」と述べている。脱原発のムードに流されず、こうした厳格な判断を求めたい。

 敦賀原発が再稼働しないと、電力供給に影響が及び、原発が専門の日本原電の経営への打撃も大きい。政府、電力業界として、どう対応するかが課題となろう。

2012年12月11日01時46分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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