HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 40166 Content-Type: text/html ETag: "101ce7c-23e6-d1add940" Cache-Control: max-age=5 Expires: Mon, 10 Dec 2012 22:21:09 GMT Date: Mon, 10 Dec 2012 22:21:04 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年12月11日(火)付

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 小沢昭一さんは、変哲(へんてつ)の俳号で句作をたしなんだ。〈夕刊をかぶり小走り初時雨(しぐれ)〉。その夕刊の、雨よけに使えば真っ先にぬれる1面に、83歳の訃報(ふほう)が出た。怪しげな役で光る名優として、民衆芸能の語り部として、まさに変哲だらけの、代えの利かない才人だった▼〈竹とんぼ握りたるまま昼寝の子〉。永六輔さんや桂米朝さんらと楽しんだ作には、たくまざるユーモアの中に、小さきもの、弱きものへの優しさがにじんでいる。〈手のなかの散歩の土産てんとう虫〉▼40代から集めた大道芸や露天商、見せ物小屋などの記録もまた、消えゆくものへの惜別だろう。名も無い人々が放浪しながら、食べていくための「地べたの芸」だ。担い手と共に絶える間際、辛うじて映像や音声に拾われたものも多い▼研究者としての業績に、朝日賞が贈られた。2時間近い記念講演の終わり、都心の駅でハーモニカを吹く芸人を語ると自らも一曲。取り締まりに気づいて逃げ出す演技で舞台袖へと消え、喝采を浴びた▼TBSラジオ「小沢昭一の小沢昭一的こころ」は約40年、1万回を超えた。3年前、「ぼちぼち」のしゃれでお墓を取り上げた回に、「千の風」になるのは嫌だと語っている▼「ちっちゃい石ころ一つでもいいから、私の骨のある場所の目印、あってほしいな。そこから私ね、この世の行く末をじっと見てるんだ」。目印は大きめでお願いします。暖かくなったら、世相の笑い飛ばし方を教わりにお訪ねしたいのこころ、である。

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