「命を守るために、一刻も早く逃げてください!」「東日本大震災を思い出してください!」。七日夕、宮城県沿岸に津波警報が出された。避難を呼び掛けるNHKのアナウンサーの叫ぶような声に3・11の記憶が生々しくよみがえった▼大津波の教訓から、呼び掛けは緊迫感が強まり、テレビ画面も赤色で「津波!避難!」という大きな字で強調した。震災以降、初めて最大一メートルの津波が到来し、沿岸の二万六千人が高台に避難した▼津波情報の間に太平洋側にある原発の情報も流れた。福島は震度4。最も危険といわれる福島第一原発4号機の核燃料プールは損傷しなかっただろうかと、ひやひやしながら見守った▼幸いどの原発にも異常はなかったが、地震列島の中に五十基もの原発を抱え込む恐ろしさを思い知らされた。大規模な余震はまだ続くだろう▼東大地震研究所が作成した「日本の地震活動」と題する地図が手元にある。一九九六年から昨年五月までに起きたマグニチュード3以上の地震の震源に赤い丸印が付けてある。東日本の太平洋は真っ赤に染まっている▼地震学者の石橋克彦さんによると、日本列島はほぼ全域で大地震の活動期に入りつつある。それでも原発の新設すら認めようとする政党がある。郷土を半永久的に破壊しかねない政策を平然と続ける政党を果たして「保守」と呼べるのだろうか。