HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 40066 Content-Type: text/html ETag: "d9db3c-23fd-8f70a1c0" Cache-Control: max-age=1 Expires: Sun, 09 Dec 2012 22:21:05 GMT Date: Sun, 09 Dec 2012 22:21:04 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年12月9日(日)付

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 赤シャツといえば、漱石の小説「坊っちゃん」に出てくる嫌みな中学教頭だ。赤シャツ氏は文学士で、作中、坊っちゃんは「文学士といえば大学の卒業生だからえらい人なんだろう」と言う。時は明治、学士様の値打ちは今と比べものにならない▼とはいっても、漱石の盟友だった子規は〈孑孑(ぼうふら)の蚊になる頃や何学士〉と揶揄(やゆ)したような一句を詠んでいる。大学を中退した頃の作というから、微妙な屈託もあるようだが、諧謔(かいぎゃく)のセンスはこの人らしい▼ところで昨今は、漱石らが聞いたら戸惑うような学士が急増しているそうだ。先の本紙記事によれば、50年ほど前には文、法、工、経済などおなじみの25種だったのが、今や何と700を超えた。何を学んだのか分かりにくいものも多い▼例えばデザインストラテジー、ホスピタリティ経営、人間文化共生……まだまだある。大学設置基準が変わって、自由に学位名をつけられるようになったためらしい▼右の例のことではないが、専門家は「日本の大学が変な学位を出して、世界から低く見られないよう自覚を促すほかない」と憂える。大学は乱立、学位は撩乱(りょうらん)。機会が広がる一方、首をかしげる向きが多いのも事実だ▼漱石が東京帝大講師の職をなげうったのはよく知られる。「大学屋も商売である」と言い、「大学は月給とりをこしらえて威張っている所」と嘆いた人だ。少子化の時代に最高学府はどうあるべきか。三途(さんず)の川に糸電話を張って尋ねてみたい、きょう漱石忌である。

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