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農業政策 バラマキいつまで続けるのか(12月9日付・読売社説)

 貿易自由化をにらんで農業の体質強化は待ったなしである。

 ところが、衆院選の政権公約では、「農村票」を目当てにしたばらまき路線が目立つ。強い日本農業を実現する政策こそを競うべきだ。

 農業政策の焦点は、戸別所得補償制度の見直しである。

 民主党が2009年衆院選の政権公約に掲げ、10年度から導入した。コメ農家などに補助金を一律に支払う仕組みだ。民主党は今回、所得補償を法律に基づく制度に格上げすると公約している。

 所得補償制度の11年度の予算規模は5400億円に膨らみ、農業予算の4分の1を占める。

 巨費を投じたにもかかわらず、規模拡大や経営改善につながったとは言い難い。

 それどころか、生産性の低い零細農家が補助金目当てに農業を続ける現状を招く結果となった。費用対効果が極めて乏しい政策は見直さなくてはならない。

 自民党の公約にも問題が多い。所得補償制度は全面的に見直すというが、農地の維持を条件に、コメだけでなく果樹や野菜、畜産農家にまで対象を広げ、補助金を支給する新法を制定する方針だ。

 所得補償の拡大以外の何物でもない。農地を持っていれば補助金がもらえる政策が、果たして生産性向上につながるだろうか。

 意欲的な専業農家に支援を集中してこそ、農業が産業として自立でき、税負担する消費者の理解も得られよう。

 自民党は、民主党政権が大幅に削減した土地改良事業費を復活させる方針も掲げた。これでは二重のばらまきだ。公約で示した「競争力のある攻めの農業」など到底、実現できまい。

 収益が上がらないから、後継者が減り、高齢化が進む――。悪循環を断ち切るには、農業再生への将来展望を示す必要がある。

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加へ、国際競争力を高めねばならない。1戸当たり平均2ヘクタールの水田面積を5年間で10倍超にする政府目標も掛け声倒れだ。

 生産・加工・販売を一体化した体制の整備、生産意欲をそぐ減反の段階的廃止、若者や異業種参入組の積極的育成など、進むべき方向は明らかだろう。

 TPP反対を応援条件に候補者に踏み絵を迫るJAグループも、「水田」を「票田」としか見ない政治家と同様、農業の自立を自ら妨げている。

 補助金漬け農政からの脱却が、農業再生への第一歩だ。

2012年12月9日01時32分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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