HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 39420 Content-Type: text/html ETag: "10628ff-2103-5de3e040" Cache-Control: max-age=1 Expires: Thu, 06 Dec 2012 20:21:07 GMT Date: Thu, 06 Dec 2012 20:21:06 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年12月7日(金)付

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 単身赴任した昔、駅前ビルに掲げられたその名に絶句した覚えがある。堂々の「大名古屋ビルヂング」。開業から半世紀、3年後には超高層に生まれ変わるが、その、八丁みそのように濃い名が継がれることになった。なるほど名古屋は、名が古いビル(屋)とほぐせる▼大の響きも、ビルヂングもやぼったい。だが、解体を控えた秋の回顧写真展では「名前だけでも残して」の声が相次いだという。かくて家主の三菱地所が思い切った▼「東京、大阪の陰に隠れていた都市が、自動車産業を軸に世界に飛躍した時代のシンボルです。屋上の看板とセットですごい存在感でした」。喜ぶのは『名古屋学』(経営書院)を書いた岩中祥史(よしふみ)さん(62)だ▼ヂという表記は、外来語のZIをジ、DIをヂと書き分けた頃の名残か。かつては後楽園スタヂアム、今でも日本ビルヂング協会連合会などがある。東京駅前の丸ノ内ビルヂングは、10年前の建て替えで丸の内ビルディングとあか抜けた▼同じ所有者が、東京で消した名を名古屋では残す。ヒルズやタウンなど、しゃれた名称の再開発が多い中、昔風のネーミングはそれだけで渋い輝きを放つだろう。お金をかけずに目立つなら、かの地らしい「お値打ち」となる▼洗練をよしとする江戸風に対し、わが道をゆく尾張流。みそカツや天むすなど、中京圏では食道楽も独自の進化を遂げてきた。街もいろんな味がするから面白い。地方の文化を尊ぶ意味でも「どえりゃあ決定」だと支持したい。


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