HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52657 Content-Type: text/html ETag: "100488-184b-4d01d35dc2e0b" Expires: Thu, 06 Dec 2012 03:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 06 Dec 2012 03:21:10 GMT Connection: close 再犯防止対策 就労と住居が更生のカギだ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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再犯防止対策 就労と住居が更生のカギだ(12月6日付・読売社説)

 法務省が公表した2012年版の犯罪白書によると、検挙者に占める再犯者の割合は1997年から一貫して上昇を続けている。昨年は、過去最悪の43・8%に達した。

 刑務所から出所した人の再犯を防ぐことは、日本の治安を守る上での重要な課題である。

 犯罪に再び手を染め、刑務所に逆戻りする人の約7割は無職だ。出所からわずか3か月で再犯に及んだ人の半数は、帰る先がないまま刑期を終えた人たちだった。

 年間の出所者は約2万8000人に上る。白書が刑務所での矯正教育の徹底に加え、出所者の就労支援と住居の確保が再犯防止に必要だと訴えたのは理解できる。

 しかし、景気の低迷で、雇用環境は厳しさを増している。

 現在、刑務所を出所した人たちを雇い入れる協力雇用主として、約1万の事業者が各地の保護観察所に登録されている。それでも、実際に働いている出所者は今年4月時点で758人に過ぎない。

 法務省は、出所者を試験的に採用する協力雇用主に奨励金を支給するなど、雇用しやすい環境作りを進めている。こうした取り組みを広げ、雇用機会を増やしていく努力が欠かせない。

 住まいについては、全国に104ある民間の更生保護施設が受け皿の役目を果たしてきた。だが、定員は約2300人で、恒常的な収容力不足が指摘されている。

 これらを補う対策として、白書は、昨年4月から始まった自立準備ホームを紹介している。民間の団体や個人が管理するアパートや一軒家を、一時的な宿泊場所として提供してもらうものだ。初年度だけで約800人が利用した。

 ホーム運営には、生活困窮者支援のノウハウを持つ非営利団体などが協力している。新たな官民連携の試みとして注目される。

 悩ましいのは、満期出所者の再犯防止対策である。

 仮釈放の場合は出所者に保護観察が付き、刑期を終えるまで保護観察所や保護司の指導の下で更生を図る。これに対し、満期出所者については、行政が監視する法的根拠がなく、“助走期間”のないまま社会復帰することになる。

 出所後5年以内に刑務所に再入所する割合は、仮釈放者では29%だが、満期出所者では51%だ。今年6月には満期出所したばかりの男が大阪・心斎橋で2人を殺害する通り魔事件も起きている。

 法務省が中心となり、満期出所者からの相談に応じる体制整備などを進める必要がある。

2012年12月6日01時09分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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