HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 05 Dec 2012 02:21:08 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:トンネル崩落 老朽インフラ点検急げ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

トンネル崩落 老朽インフラ点検急げ

 もはやトンネルを通り抜けるのも命懸けだ。中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の崩落はドライバーの不安をかき立てた。安全管理に慢心はなかったか。老朽トンネルの徹底点検が急がれる。

 師走に入って最初の日曜日。笹子トンネルの監視モニターが映し出したのは阿鼻(あび)叫喚の惨状だった。中央から折れたようにV字形に崩れ落ちたコンクリートの天井板が奥まで連なっていた。

 百三十メートルに及ぶ連鎖的な崩壊で車三台が押しつぶされ、九人が亡くなり、二人が負傷した。想像を絶するような事故である。身震いしたドライバーは多いだろう。

 天井には重さ一トン超のコンクリート板が左右に並べられていた。両端をトンネルの側壁で支え、中央をトンネル最上部にボルトで留めたつり金具でつり下げる構造だった。天井板の上の空間は換気ダクトの役目をしていた。

 管理する中日本高速道路によれば、ボルトの一部が抜け落ちていたというから恐ろしい。保守点検でコンクリートやボルト、接着剤の劣化や亀裂、腐食を見逃していなかったか。山梨県警と国土交通省は原因究明を徹底すべきだ。

 とりわけ笹子トンネルの点検方法は見過ごせない。天井板の上に乗ってもつり金具の最上部まで手が届かないからという理由で、懐中電灯で照らして見る目視検査にとどめてきたというのだ。

 一九七七年の開通である。老朽化は激しい。構造物を金づちでたたき、反響音で劣化具合を調べる打音検査は欠かせなかったはずだ。安全面よりもコスト面を優先させる経営体質ではなかったか。

 これまでボルトを交換した記録がないというのも極めて不自然だ。今年九月の目視検査でも異常は見つからなかったという。細心の注意を払わず、漫然と点検作業をしてこなかったか。

 高度成長期の七〇年代からインフラとして高速道路やトンネルはいくつも造られてきた。国交省は同じ構造を持つトンネル四十九本の緊急点検を高速道路会社や地方整備局に指示した。手抜かりがあってはならない。

 しかし、建造後の保守点検を道路管理者に事実上任せ切りにしている仕組みに問題はないか。事故を契機に検証するべきだ。

 古いインフラは道路に限らない。橋梁(きょうりょう)や空港、港湾、河川など老朽化対策を講じるべき建造物は多い。国民の安全が脅かされないよう点検と改修を進めてほしい。

 

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