HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 04 Dec 2012 02:21:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:衆院選きょう公示 悩み抜いた一票が力に :社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

衆院選きょう公示 悩み抜いた一票が力に 

 どの政党、候補者に政権を託すのか、実に悩ましい選択です。でも、これだけは信じたい。悩み抜いた一票一票の積み重ねが政治を変える力になる、と。

 衆院選はきょう公示されます。投開票は十六日です。十二日間の選挙運動期間中、街頭も、われわれ新聞やテレビなどのメディアも多少騒々しくなりますが、私たちの今と将来を選択する機会です。民主主義の「コスト」と思って、耳目を傾けることにしましょう。

 でも、自宅に届いた投票所整理券を見て、考え込んでしまいました。どの政党、候補者に票を投じればいいのだろう、と。

◆民主の業績評価は

 初めて投票所に足を運んだ三十年近く前から、何回か国政選挙で投票しましたが、今回ほど悩ましい選挙はありません。特定の支持政党や支持候補を持たない「無党派」有権者の多くが同じ思いをしているのではないでしょうか。

 その最大の原因は民主党にあります。三年前の衆院選で有権者は閉塞(へいそく)状況にあった自民党政治からの転換を民主党に委ねました。

 もちろん、この三年間にある程度前進したものもあります。子どもを社会全体で育てる理念や外交文書などの行政情報公開です。

 しかし、国民が期待する「政治家主導の政治」実現には程遠く、東日本大震災や原発事故では政権運営の未熟さも指摘されました。

 そして行き着いたのが、マニフェスト破りの消費税増税です。国民の多くが増税はいずれ避けられないと覚悟していても、「一体」としていた社会保障の抜本改革は先送りされ、行政や国会の無駄遣い根絶もほとんど手付かずです。

 衆院選は政権政党にとって業績評価投票でもあります。続けて政権を託そうと考える有権者が少ないだろうことは、報道各社の世論調査結果が示しています。

◆原発排除せぬ自民

 では、自民党政権に戻せば、有権者の期待に応える政治が実現するのでしょうか。そう言いきれないところが悩ましいところです。

 例えば原発・エネルギー政策。本紙の最新全国世論調査では原発稼働ゼロを求める意見は半数を超え、政府の討論型世論調査でも二〇三〇年の原発比率「0%」を評価する人が46%と最も多かった。

 政府が新エネルギー政策の策定に向けて実施したパブリックコメント(意見公募)でも約九割が原発ゼロを支持しています。もはや原発ゼロは「国民の声」です。

 人命を危うくし、故郷を奪う原発は、生きとし生けるものの命や生まれ育った故郷を大事にする日本人の精神構造と相いれません。

 自民党の政権公約は、原発再稼働の可否について三年以内の結論を目指し、十年以内に「電源構成のベストミックスを確立する」としています。つまり原発稼働継続の選択肢を排除していません。

 ふるさとを大事にする保守を自任してきた自民党が、なぜ人々からふるさとを奪う可能性のある原発継続の道を残すのでしょう。

 原発は各党が公約しています。民主党が「三〇年代の原発ゼロ」、日本維新の会が「脱原発依存体制の構築」、日本未来の党が「十年以内の完全廃炉」などです。

 掛け声だけで脱原発は実現しません。省エネルギー推進や再生可能エネルギーの開発・普及、発送電分離など電力システム改革、使用済み核燃料問題など課題は山積です。どの党の公約に実現性があるのか、見極める有権者の目も試されます。

 もう一点、気掛かりなのは憲法です。安倍晋三総裁の路線なのでしょう。自民党は政府の憲法解釈で違憲とされる「集団的自衛権の行使」を認め、憲法改正で自衛隊を国防軍とすることを公約に掲げました。

 しかし、戦争放棄を定めた九条の解釈変更や改正は日本が戦後、平和国家として歩んできた「国のかたち」を変え、国益を著しく損なう可能性があると考えます。

 米国の誤ったイラク戦争に深入りすることを阻んだ憲法解釈を変えたり、国民に定着し、国際的にも認められた自衛隊を、国防軍にしたりする必要があるのか。

 憲法改正論議は突き詰めれば九条をどうするかに行き着きます。「改憲」か「護憲」か。古いようで実は、新しい争点なのです。

◆真贋を見極めたい

 社会保障、景気・雇用対策、消費税増税にも高い関心が集まります。乱立する政党、候補の公約の真贋(しんがん)を見極めるのは大変な作業です。投票日までは自分たちの生活と子どもたちの将来を考える期間と割り切ったらどうでしょう。

 ポピュリズム(大衆迎合)批判は声高ですが、主権者は日本国民たる私たちです。主権者の意に反する政治は民主主義ではありません。われわれ新聞も読者とともに悩み、考えます。月並みですが、それが政治を変える、と信じて。

 

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