岡山県倉敷市の選挙管理委員会が、衆院選の投票所入場券を刷り直す羽目になった。別にミスを犯した訳ではない。入場券には標語が刷り込まれていた。「未来へ一票」▼ところが、業者から納品された二日後に新党ができた。「日本未来の党」。さすがに、まずい。九十二万円かけて刷った二十二万枚を処分し、大急ぎで作り直している▼なるほど選挙啓発の標語に「未来」はつきものだ。島根県選管がチラシ二十七万枚余に入れた言葉は「未来を照らせ この一票」で、これも刷り直し。新しい標語は「明日を照らせ この一票」。こうなると、土壇場で「新党明日」やら「明日照らす党」が出てきたらどうするの、と心配になる▼何しろ、この結党・合流騒ぎだ。ポスターやチラシの作り直しもやむを得ない。しかし、看板政策の度重なる書き直しは、どうにもいただけない▼日本維新の会の原発政策は「二〇三〇年ゼロに向け、積極的にアクション」だった。それが、太陽の党との合流で、「脱原発」がいったん消えた。卒原発を掲げる未来の党が脚光を浴びると、「三〇年代までにフェードアウトする」となり、きのうは石原慎太郎代表が「そういう公約は直させます」▼フェードアウトは、映画などで場面が少しずつ暗くなっていくこと。フェードインは、逆に明るくなること。さて維新の党勢はアウトかインか。