HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52512 Content-Type: text/html ETag: "10048c-1829-4cfb8cb913f95" Expires: Sat, 01 Dec 2012 01:21:51 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 01 Dec 2012 01:21:51 GMT Connection: close パレスチナ 「国家」格上げを和平につなげ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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パレスチナ 「国家」格上げを和平につなげ(12月1日付・読売社説)

 国連でのパレスチナの資格を「オブザーバー機構」から「オブザーバー国家」に格上げする決議が、国連総会で賛成多数で採択された。

 正式加盟国と違い、オブザーバー国家に投票権はない。それでも、パレスチナ自治政府にとって、国際社会から「国家」として扱われた象徴的な意味合いは大きい。アッバス議長は採択を「今日は歴史的な日だ」と歓迎した。

 議長は、これをテコに自治政府の求心力を回復したいのだろう。重要なのは国際社会の後押しを生かし、イスラエルとの和平交渉再開につなげることだ。

 しかし、現実は厳しい。

 イスラエルは、自治政府が「国家」格上げ決議を推進したことに強く反発している。

 さらに自治政府にとって深刻なのは、パレスチナ内で対立するイスラム主義組織ハマスの存在感が増していることだ。

 地中海に面するガザ地区を支配しているハマスが11月にイスラエル軍と交戦した際には、ガザからのロケット弾が、イスラエル最大の商業都市テルアビブにまで届き、衝撃を与えた。

 軍事能力向上は、イランの軍事協力が背景にあると見られる。

 イスラエルが地上侵攻を準備するという、一触即発の危機となったが、エジプトの仲介で、かろうじて停戦合意が成立した。

 しかし、イスラエルとハマスの相互不信は根深い。ハマスはガザ地区への経済封鎖の解除を、イスラエルは武器流入停止を、それぞれ求めている。双方が受け入れ可能な環境作りを急ぎ、停戦の維持を図るべきである。

 ハマスの台頭を踏まえれば、ハマス抜きにイスラエルと和平交渉することは、現実的ではない。

 最大の障害は、ハマスがイスラエルとの平和共存をかたくなに認めていないことだ。

 和平交渉再開に向け、エジプトが果たすべき役割は大きい。イスラム主義者であるモルシ大統領はハマスとイスラエルとの仲介に積極的だ。ハマスに、現実路線への転換を働きかけてほしい。

 日本は、今回の国連決議に賛成票を投じ、反対した米国とは一線を画した。日本が長年、援助を通じて培ってきた自治政府との関係を維持することは大切だ。

 パレスチナが発火点となり中東地域が混乱すれば、原油輸入の8割以上を中東に依存する日本のエネルギー戦略は、深刻な打撃を受ける。今後も和平交渉再開へ側面支援を続ける必要がある。

2012年12月1日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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