HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 01 Dec 2012 03:21:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:パレスチナ国家 恒久平和へつなげたい:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

パレスチナ国家 恒久平和へつなげたい

 国連総会が圧倒的多数をもって、パレスチナの資格をオブザーバー組織からオブザーバー国家へ格上げしたことは、国際的支持の大きさを物語る。これを好機として恒久平和につなげてほしい。

 決議採択の意味は三つある。

 一つめは、パレスチナ住民の意識にかかわることである。

 占領地のパレスチナ人には、イスラエルと交渉しようにも、その背景となる力がない。武力はもちろん、経済力もない。頼りになるのは国際的な支援だけといっていい。

 その国際社会に、自分たちは見すてられている、という意識は土に根の張るように広がっている。

 それが決議採択では日本を含む百三十八という多数の国に支持されたわけだから、彼らなりの自信と誇り、また主張の正当性が認められたと考えたとしても不思議はない。

 言い換えれば、国際社会はぬかよろこびをさせてはいけない、ということだ。

 二つめは、資格の格上げで新たに得られるかもしれない権利の役割である。

 オブザーバー国家への格上げで国連所属の国際刑事裁判所などへの加入の道が開けるのかもしれない。そうなれば、イスラエルによる占領地入植や政治犯の拘束、また一般に戦争犯罪として訴えることも理論的には可能になる。

 実際には安保理との関係や米国の反対などで難しい。だが交渉力は増すだろう。

 三つめは、「アラブの春」の後押しだ。

 先日のイスラエルによるガザ攻撃で、エジプトやカタールなどアラブ諸国が積極的外交にうって出た。アラブの春の前、米国の圧力下にあった時代には考えられなかったことだ。国連総会の賛成多数とは、そういう歴史の潮流の中で起きたことだともいえる。

 しかしながら、そのうえで考えても、和平交渉には米国の仲介がやはり欠かせない。それは二期目に入るオバマ大統領の決断にかかる。大統領がかつて世界に宣言した通り西洋とイスラム世界との歴史的和解がかかっている。

 イスラエルはもちろん、パレスチナ側も二国家共存という道へと歩みを進めてほしい。

 イスラエル側には入植地の撤去など、アラブ側には何よりもイスラエルの生存権をそろって認める必要がある。指導者たちが、未来のために歴史の歯車を回す勇気の必要な時が来ている。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo