HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52899 Content-Type: text/html ETag: "fe4da-186d-4cf7c7b66b2e7" Expires: Tue, 27 Nov 2012 22:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 27 Nov 2012 22:21:05 GMT Connection: close 「国防軍」 本質的な憲法論議に踏み込め : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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「国防軍」 本質的な憲法論議に踏み込め(11月28日付・読売社説)

 自民党が政権公約で、「国防軍」を保持するとした憲法改正を掲げたことが衆院選の争点の一つに浮上してきた。

 各党は、これを機に、より本質的な憲法改正論議に踏み込むべきである。

 自民党の公約に対し、野田首相は「あえて国防軍と名前を変え、憲法を改正して位置づける意義が分からない」と発言した。これが論戦に火を付けた。

 自民党の安倍総裁は、自衛隊は国際法上、軍隊と見なされているのに、政府の憲法解釈では軍隊ではないとされていることこそが問題だと反論した。軍隊でなければ、万一の場合、自衛隊員は捕虜として扱われないとも言及した。

 もっともな見解である。

 憲法9条は、第1項で戦争を放棄し、第2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と戦力不保持を定めている。

 自民党の公約は、谷垣総裁当時の4月に発表した憲法改正草案に沿ったものだ。草案は9条1項を継承する一方で、2項は削除した。その上で「自衛権の発動」を妨げるものではない、として「国防軍」の保持を明記している。

 憲法に、自衛のための組織を明確に記すことは当然だ。自衛隊の法的な位置づけを巡る混乱に終止符を打つべきである。

 読売新聞も2004年の憲法改正試案で、「自衛のための軍隊」保持を盛り込んでいる。

 首相自身、野党時代の自著で、自衛隊を「外国から見たら、日本軍だ」とし、「きっちり憲法の中で位置づけなければいけない」と主張しているではないか。

 自らの持論を否定するような発言をするのは理解に苦しむ。

 首相が自民党の公約について、「自衛隊を大陸間弾道弾を飛ばすような組織にするのか」などと発言しているのも問題である。安倍自民党に「タカ派」のレッテルを貼り、殊更に有権者の不安を(あお)ろうとする選挙戦術そのものだ。

 一方、民主党の新たな政権公約(マニフェスト)からは憲法改正に関する記載が姿を消した。「自由闊達(かったつ)な憲法論議を」とした3年前よりも後退した感が強い。

 「国防軍」を巡る論戦を仕掛けた以上、民主党は憲法で自衛隊や自衛権をどう位置づけるのか、方針をまとめるべきだ。

 衆院選では、憲法とも関連する、集団的自衛権行使の是非や、自衛隊の国際活動のあり方についても活発な論戦を期待したい。

2012年11月28日01時23分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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