HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 54593 Content-Type: text/html ETag: "100056-1ea3-4cf54335e8206" Expires: Mon, 26 Nov 2012 00:21:55 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 26 Nov 2012 00:21:55 GMT Connection: close 社会保障 持続可能な制度へ論戦深めよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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社会保障 持続可能な制度へ論戦深めよ(11月26日付・読売社説)

 ◇年金などの給付抑制が不可欠だ

 持続可能な社会保障制度をどう築くか、各党は現実的な政策を競い合うべきだ。

 少子高齢化が急速に進む。1人の高齢者を2・4人の現役世代で支える今の「騎馬戦型」社会は、30年後には1人を1・3人で支える「肩車型」社会になる。このままでは社会保障制度は早晩行き詰まるだろう。

 ◆一体改革の意義説明を◆

 増え続ける社会保障支出を賄い、財政を再建するため、民主、自民、公明の3党は消費税率の引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革関連法を成立させた。

 だが、国民の生活が第一などは消費増税の撤回を掲げている。日本維新の会は「消費税で社会保障を賄うのは不可」としているが、疑問だ。民自公3党は、衆院選で改革の意義を丁寧に訴える必要がある。

 懸念されるのは、各政党が選挙戦で有権者の歓心を買おうと、社会保障給付の拡充や負担軽減ばかりを唱えがちになることだ。

 漫然と給付を拡大するなら、際限なく消費増税を続けなければならない。

 社会保障給付の抑制策を提示することは、政治の責任である。

 年金給付を抑制するため、臨時国会で、改正国民年金法が成立したことは評価できる。2・5%の過払いとなっている給付が、ようやく本来の水準に戻される。

 年金財政の安定には、人口や賃金の変動に合わせて、年金水準をさらに引き下げる必要がある。

 労働力人口の減少や、不況に伴う賃金水準の低下で、年金保険料を納める現役世代の負担は重くなる一方だ。保険料や税の負担に比べ、給付が若い世代ほど少なくなる「世代間格差」が拡大し、制度の維持は難しくなる。

 急増する非正規労働者に対する厚生年金の適用拡大や、低年金・無年金者対策についても論じてもらいたい。

 民主党は年金制度を抜本的に見直そうと「最低保障年金」の創設を提唱している。だが、民主党が従来「月7万円」としてきた給付額を税財源で賄うと、消費税をさらに最大6・2%引き上げる必要があり、実現性に乏しい。

 今回の衆院選の政権公約(マニフェスト)原案に給付額の記載がないのは、こうした批判を意識したためだろう。

 ◆危機的な健康保険財政◆

 一方、自民、公明両党は現行制度の維持を主張しているが、そのための具体策は十分ではない。

 各党は、年金の将来像と制度の改善策を示すべきだ。

 団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて、医療や介護の需要は増大する。在宅医療・介護サービスの拡充や、介護施設の整備は急務と言える。

 民主党は、後期高齢者医療制度を廃止し、75歳以上の高齢者は国民健康保険に移行することを主張している。

 だが、この制度は既に定着しており、廃止の必要性は希薄だ。

 自民党は「現行制度が基本」としているが、改めるべき点はあろう。高齢者医療への巨額の拠出金で、協会けんぽなどの健康保険財政が危機に陥っている。

 各党は制度の見直しに、もっと知恵を絞る必要がある。

 70〜74歳の医療費の窓口負担を1割に抑える特例措置をやめ、法律の規定通り2割負担に引き上げることも懸案だ。

 複数の医療機関の受診や検査、投薬の重複、急増する調剤費など医療費の適正化も求められる。

 介護サービスは、現在は要介護状態ほど重くない要支援者も対象になっているが、今後は自己負担の引き上げや重度の要介護者への重点給付が検討課題になろう。

 少子化対策にも力を入れなければならない。1人の女性が産む子供の数を示す合計特殊出生率は、11年に1・39と低水準だ。

 社会保障と税の一体改革で、消費増税分のうち7000億円を子育て支援に充てることになっている。それでも欧州諸国に比べ依然少ない少子化対策費をどう確保するか、という観点も重要だ。

 ◆国民会議の役割は重い◆

 近く設置される社会保障制度改革国民会議が果たす役割は小さくない。信頼できる社会保障体制の構築を議論し、給付の抑制策をまとめる必要がある。

 社会保障制度は安定したものでなければ、国民の不安は解消しない。どの政党が政権についても、制度を維持しながら、状況の変化に応じて修正を加えていくべきである。それを念頭に、建設的な論戦を展開してもらいたい。

2012年11月26日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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