HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 24 Nov 2012 20:21:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ミャンマー 米中間の火種にはせず:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ミャンマー 米中間の火種にはせず

 制裁と対話で強権国家に変革を迫る米国の試みは成功しつつある。ミャンマーの民主化は後戻りできぬ段階に入ったともいえる。資源に恵まれ地理的要衝の国を、米中間の火種にしてはならない。

 オバマ外交の成功例と後世、たたえられるのかもしれない。軍事独裁の閉ざされた国を、民主化へ向かう、新生ミャンマーへと劇的に転換させた。

 尾行や盗聴があった暗い時代に、学生運動の拠点だったヤンゴン大学。この地での講演で、初訪問した大統領はこう呼びかけた。

 「恐怖で支配する外国政府に『握った拳を緩めるならば、手を差し伸べる』と言った。その約束を果たすためにここに来た」

 三年前、米国は制裁一本やりの政策から、対話を織り交ぜる路線にかじを切った。テイン・セイン大統領率いるミャンマーは、政治犯釈放や民主化運動のリーダー、アウン・サン・スー・チーさんの国政参加などを実現し、見事に期待に応えたと評価できる。

 欧米諸国は相次ぎ経済制裁の解除に踏み切った。日本も来春、五百億円規模の円借款を再開する。東南アジア諸国連合(ASEAN)の成長から取り残されていたミャンマーは、民主化による発展の機会をつかみ取ったといえる。

 だが、懸念もある。時期尚早との批判もある中での米大統領のミャンマー訪問は、軍政時代に影響力を強めた中国への巻き返しの狙いもあるからだ。

 米国は、アジアでの合同軍事演習にミャンマーをオブザーバー参加させることを検討している。一方、豊富な天然資源に恵まれ、インド洋に面した海上交通の要路に位置するミャンマーは、中国にとっても依然重要な国である。

 ASEAN首脳会議の関連会合で、中国代表は「隣国としてミャンマーの安定と発展に引き続き役割を果たす」と強調した。

 アジア太平洋重視を強める米国をけん制し、距離を置き始めたミャンマーを再び引きつけようとする狙いがあろう。だが、ミャンマーをめぐる米中さや当ては地域の安定を損ないかねない。

 中国の新指導部は「海洋強国」の方針を打ち出した。その直後のASEAN首脳会議で、中国が南シナ海で関係国の活動を法的に拘束する行動規範の策定を先送りしたのは気がかりだ。

 紛争を避けるための、アジアの海のルール作りにはもっと積極的であってほしい。

 

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