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天声人語

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2012年11月24日(土)付

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 損得に揺れない身の堅さはすがすがしい。戦国の昔、合戦で大手柄をたてて徳川家の最年少の部将になった成瀬正成(まさなり)に、豊臣秀吉が目をつけた。けた違いの俸禄を示して、「あの若武者をくれ」と家康に迫ったそうだ▼やむなく家康が承知をすると、正成は大泣きした。「どうしても秀吉の家臣になれというなら切腹する」。それを聞いた秀吉は「家康殿は良い家来を持たれておる。目をかけて使われよ」と言って諦めた――磯田道史(みちふみ)さんの『歴史の愉(たの)しみ方』(中公新書)から拝借した▼平成の日本も戦国なみ、まれに見る多党乱立のうちに総選挙が迫る。それだけ「脱出ボート」が多いわけで、すでに幾人もが、主に民主党から乗り移った。理を感じる離党もあるが、損か得か、保身丸見えの遁走(とんそう)も目立って情けない▼個人に限らず、第三極の離合を見ても信義や信念が軽すぎないか。群像劇として眺めれば面白いが、AKBの総選挙とは違って国の明日がかかる。信を置ける人と党の吟味はゆるがせにできない▼金(きん)と見えた人が実はメッキだったり、逆に、鉛のように思われた人がいぶし銀の光を湛(たた)えていたりする。乱立にもまれて、人も組織も地金(じがね)は出やすい。すでに化粧のはがれだした人もいるようだ▼「織田がつき、羽柴がこねし天下餅、座りしままに食うは徳川」。3年前に天下餅を食った民主党は消化不良で日本の胃もたれは深刻だ。ここは口に苦くとも、健胃をしっかり促す良薬がほしい。留飲を下げる偽薬ではなく。

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