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2012年11月23日(金)付

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世襲と人材―政治は家業じゃない

国会議員は家業ではない。親の七光りでどうにかなるような仕事でもない。総選挙に立候補を検討していた、羽田孜元首相の長男、雄一郎国土交通相が参院議員からのくら替えを断念した[記事全文]

官房機密費―公開を先送りするな

3年前の総選挙で、民主党への政権交代が決まった直後、自民党の河村官房長官が2億5千万円の内閣官房報償費(官房機密費)を引き出した。政権与党として政策遂行の力はなかったの[記事全文]

世襲と人材―政治は家業じゃない

 国会議員は家業ではない。親の七光りでどうにかなるような仕事でもない。

 総選挙に立候補を検討していた、羽田孜元首相の長男、雄一郎国土交通相が参院議員からのくら替えを断念した。

 民主党は、09年総選挙のマニフェストで「国会議員の世襲禁止」をうたい、今回も踏襲する方針だ。

 羽田氏は、これを厳格に適用することをめざす野田首相の方針に従うという。

 世襲を禁止したり、制限したりすることがなぜ必要か。

 新たに政治の舞台に上がろうという人からみれば、「地盤、看板、かばん」のゲタをあらかじめ履いた世襲候補との勝負はフェアとはいえない。

 それだけではない。この種の議員があまりに増えれば人材の多様性が乏しくなり、政治が社会の変化に対応できなくなる。先代の後援会を引き継げば、既得権益の温存にもつながる。

 じつは、自民党も3年前の政権公約で、世襲候補は「次回の総選挙から公認・推薦しない」と明記した。なのに今度も福田元首相の長男ら、引退議員の子弟を続々公認している。

 政権公約について安倍総裁は「できることしか書かない」と胸を張った。なるほど、今回の公約では世襲禁止のくだりは消えてしまった。

 自民党は小泉首相以来、6代の総裁がいずれも世襲議員。いまの安倍執行部もずらり二世が並ぶ。所属衆院議員の実に4割超が世襲というのでは、民主主義国の政党と言えるか。

 そんな自民党に有権者の思いは分からない。そう印象づけるのが民主党の狙いだろうが、その民主党も威張れたものではない。支援を受ける労働組合の出身候補が多く、人材の偏りという点では同じ問題を抱える。

 大事なのは、優れた人材を幅広く国会に集めることだ。

 自民党が一部で導入している候補者公募や党員投票は有力な手法だ。いっそ、投票権を一般の有権者に広げてはどうか。

 比例区の候補選びも男女半々にしたり、世代や職業別に割合を決めたりしてもいい。

 会社員が職を捨てないで立候補できる。あるいは議員を一定期間務めたあと、また職場に戻れる仕組みができないか。

 公務員や地方議員、首長にも現職のまま立候補を認める制度も検討に値する。

 こうした制度は、実際に欧州などで実施されている。

 民意に近い国会をつくる。それが、有権者の政治刷新への期待に応える第一歩ではないか。

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官房機密費―公開を先送りするな

 3年前の総選挙で、民主党への政権交代が決まった直後、自民党の河村官房長官が2億5千万円の内閣官房報償費(官房機密費)を引き出した。

 政権与党として政策遂行の力はなかったのに、民主党に政権を引き継ぐ10日ほどの間に、全額を使い切っていた。

 多額の税金をどんな目的に使ったのか。納税者ならば知りたいと思って当然だが、情報公開請求をしても、使い道に関する資料は何ら明かされなかった。

 その官房機密費の情報開示を求めた裁判で、大阪地裁は市民団体の主張を一部認め、支出額などの情報を開示するよう命じる判決を言い渡した。

 原告は2件の訴訟を起こし、小泉政権下に支出された機密費の一部開示を認めた今年3月の判決に続く司法判断となった。

 二つの判決が公開を命じたのは、出納を記載した書類や会計検査院に提出する明細書など、いずれも情報提供者ら支払い相手先が特定されない文書類だ。

 自民党政権は、「国の機密保持上、使途を明らかにすることが適当でない性格の経費」として公開を拒んできた。

 判決は、開示で「国の安全が害されるおそれなどがあるとは考え難い」と指摘した。ただ、公開を命じたのは支払い相手先が特定されない文書類に限られ、原告の知りたかった使い道は明かされないままだ。

 判決後に会見した原告は「本来は司法に頼るべきではないが、政治家は頼りにならない」と失望を口にした。

 とはいえ、本来、政治が自ら公開制度を整備するのが筋であることに変わりはない。政治が目をそらしてはいけない。

 野田政権の藤村官房長官は昨秋、1年間で機密費の公開基準を示すと表明した。

 情報公開法の改正案も昨年4月に閣議決定され、国民の「知る権利」を明記した。不開示のときは、「理由をできる限り具体的に記載しなければならない」との条文も盛り込んだ。だがその後、動きがとまった。

 藤村長官は今年9月になって、「機密費の機能維持と透明性の確保の両立は大変難しい」と公開基準づくりの先送りを決めた。改正法案は一度も審議されないまま、衆議院解散で廃案となってしまった。

 不明朗さがつきまとう機密費は公開を原則にすべきだ。機密性の高い支出については、一定期間すぎた後に相手先や使途を公開するのが妥当だろう。

 総選挙後どの政党が中心の政権になろうと、機密費の公開制度を早急に整えてほしい。

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