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2012年11月21日(水)付

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 ミャンマー(ビルマ)と聞いて連想する楽器は、日本人なら竪琴だろう。その国に、「水牛のそばで竪琴を奏でる」ということわざがあるのを、あちらの短編小説の翻訳集で知った。親身な忠告にも聞く耳を持たない、困った頑迷さを言う▼軍事独裁下のミャンマーは、頑迷が徹底していた。たとえば2年前、自宅軟禁の続くアウンサンスーチー氏が65歳を迎えた。誕生日を前にオバマ米大統領は解放を求めたが、応じる気配はまるでなかった。それが今、この変わりようである▼米大統領の初訪問を、人々は歓呼で迎えた。民主主義の守護者を任ずる国から大統領が来たからには、もう圧政への後戻りはない。民主化へのお墨付きと、市民は受け取ったことだろう▼しかし、スーチー氏は訪問を尚早とも案じたそうだ。「変革の最も困難な時期は成功が見えてきたとき。蜃気楼(しんきろう)に惑わされないよう十分気をつけなければいけない」と釘を刺す。オバマ氏と写る写真の、少し困ったような笑顔は、その表れだったろうか▼スーチー氏の父アウンサン将軍は「建国の父」と慕われる。そして今、「民主化の母」となった娘を、生まれたばかりの幼子(おさなご)を立派に育てる試練が待つ▼〈軟禁を解かれし女人(にょにん)たおやかに髪に花挿(さ)す疾風の中〉長田裕子。だが現実の政治に手を染めれば、民主化の象徴のような純粋を保つのが難しい局面もあろう。内外に対して「スーチー」という存在であり続けねばならない苦労を思う。疲れず折れず歩んでほしい。

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