HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 19 Nov 2012 22:22:00 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: <われは物の数にもあらず深山木(みやまぎ)の 道ふみわけ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 <われは物の数にもあらず深山木(みやまぎ)の 道ふみわけし人し偲(しの)ばゆ>。「中間子理論」の功績により、一九四九年に日本初のノーベル賞(物理学)に輝いた湯川秀樹博士の歌だ▼道なき道を切り開いてきた先人たちの苦労を思えば、自分などは物の数にも入らないと戒める。俺が、私が、わが党が、という自己主張ばかりが嫌でも目に入る時節柄、その謙虚さは心に染みる▼中間子理論のヒントを得たのは、不眠症に悩まされ、眠れずに天井の木の板の年輪模様を眺めていた時だったと、吉田たかよし著『元素周期表で世界はすべて読み解ける』が紹介している▼年輪の真ん中にぐりぐりとした模様が二つ。ひょうたんの形をした年輪がそれを取り囲んでいる様子が原子核に見えたという。ノーベル賞受賞は、敗戦に打ちのめされていた国民を大いに励ました▼五六年に原子力委員会が発足する際、湯川博士は請われて委員になった。しかし、自国の研究を軽視し、安全性も十分に確かめないまま、米国からの輸入で商業炉の稼働を急ぐ拙速な姿勢に嫌気が差し、一年で辞任している▼博士の危惧は現実になった。原子力基本法が掲げた「民主・自主・公開」の三原則はないがしろにされ、東京電力福島第一原発の事故後も、原子力ムラの隠蔽(いんぺい)体質は変わらない。総選挙の最大の争点は原発政策だ。政党の主張の真贋(しんがん)を見極めたい。

 

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