HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52926 Content-Type: text/html ETag: "b7dd9-1872-4cec786ee2a3e" Expires: Mon, 19 Nov 2012 02:22:35 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 19 Nov 2012 02:22:35 GMT Connection: close ストーカー殺人 被害者守れぬ警察は猛省せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




現在位置は
です

本文です

ストーカー殺人 被害者守れぬ警察は猛省せよ(11月19日付・読売社説)

 ストーカー行為におびえ、身の危険を訴えた被害者を、警察は守ることができなかった。

 猛省し、再発防止を徹底せねばならない。

 神奈川県逗子市で、デザイナーの女性が元交際相手の男に殺害された事件である。逗子署は昨年6月、「殺す」といったメールを女性に送りつけた男を脅迫容疑で逮捕した。

 その際、警察官は逮捕状に記載された女性の結婚後の姓、住所を読み上げた。女性は、新たな居住地などを男に知らせないよう警察に頼んでいたが、警察官が読み上げたことで、男に伝わってしまった可能性が大きいという。

 男は執行猶予中の今月6日、女性のアパートに押し入って殺害に及び、自殺した。

 令状の読み上げは、容疑者に逮捕理由を認識させるのが目的だ。記載事項をすべて告げる必要はない。逗子署の警察官の行為は、被害者への配慮を欠き、あまりに軽率だったというほかはない。

 警察庁の片桐裕長官は、令状の記載方法の見直しを表明した。それも必要だが、まずは今回の警察の対応を厳正に検証すべきだ。

 男は凶行の半年前、約20日間に1000通以上のメールを女性に送りつけていた。婚約を解消したことを一方的に責める内容だったが、逗子署はストーカー規制法での立件を見送った。

 規制法は、違法となる付きまとい行為について、「名誉を害する事項を告げること」「著しく粗野または乱暴な言動をすること」などと規定している。

 男の行為は、これらに当てはまるのではないか。逗子署の対応には疑問が拭えない。

 規制法の見直しも急務である。電話やファクス送信を執拗(しつよう)に繰り返すことを禁じているが、メールは対象外だ。インターネットの普及とともに、通信手段が多様化していることを考えれば、現状にかなった条文に改正すべきだ。

 全国の警察が規制法に基づいて出した警告は、今年1〜8月だけで1511件に上った。年間件数で過去最高だった2007年の1384件を既に上回っている。

 急増するストーカー事件で被害者を守るためには、新たな対策を講じることも必要だろう。

 配偶者の暴力から被害者を守るDV防止法では、裁判所の保護命令で、加害者が被害者に接するのを禁じる制度がある。警察は違反した加害者を逮捕できる。

 ストーカー事件でも、同様の制度を検討すべきではないか。

2012年11月19日01時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です