HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 17 Nov 2012 20:22:28 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: その日は、キリストの復活を祝う祭日であった。人々は旗を掲…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 その日は、キリストの復活を祝う祭日であった。人々は旗を掲げ、太鼓を鳴らし行進した。向かう先は投票所。復活祭が民主主義の祝日となった▼富者の特権だった選挙をすべての成人男子のものにする世界初の普通選挙は、一八四八年にフランスで行われた。字が読めぬ人も多かったのに、投票率は八割を超えた▼「普選の父」とされたルドリュ・ロランは意義をこう説いた。大河で水量が少ないと、汚物が腐敗して悪疫をもたらす。しかし雨が奔流となれば、汚物を流し豊饒(ほうじょう)な地を生む。それが普通選挙だと。(永井良和著『普通選挙の幕開け』)▼きのう解散された衆院は泥仕合続きだった。汚泥もたまっていよう。腐臭に耐えかね、もう政治劇など見たくないという人も多かろう。だが原発に増税、若者が希望を持てぬ雇用。争点となるべき課題があまりに多い▼原発事故で故郷を奪われた佐藤紫華子さん(84)の詩集『原発難民の詩』にこんな作品がある。<いたずらにテレビで笑う/おかしくもないのに/タレント笑う/国会は自分の事に/無我夢中/ドタバタ劇はもう澤山(たくさん)/いつまで避難させとけばいゝの/家があるのに帰れない/この口惜しさ!/この惨めさ!/大人しくなんてしていられない/皆で津波のように/押し寄せようかしら−>▼奔流の一滴となる一票を使わないと、川はいつまでも淀(よど)んだままだ。

 

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