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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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どこか野田首相を詠んだようだと、3日前から思っている一句がある。〈泥鰌(どじょう)浮いて鯰(なまず)も居るというて沈む〉永田耕衣(こうい)。どこかの古池の様子でも想像すれば、とぼけた味わいに心がゆるむ▼自らをドジョウに見立てつつ、野田首相の身中にはナマズもいたようで、乾坤一擲(けんこんいってき)、いきなりの解散に永田町は揺れた。野党のあわてぶりに「奇襲解散」の呼び名はどうかと言う同僚がいた。カーキ色めいて無粋だが、当たっていなくはない▼「鳩(はと)に豆鉄砲」の格好になった第三極の動きが、とりわけ慌ただしい。減税日本代表の河村名古屋市長は、日本維新の会、みんなの党、太陽の党を含めて「四つドカンと一緒になるのが、僕らは面白い」と、リンゴの量り売りのようなことを言っていた▼合従連衡は政治の常だが、政策は二の次、ドカンと固まるから「さあ買って」では荒っぽすぎる。うわついたブームより政権公約の誠実さが大事だと、民主党の総崩れぶりが私たちに教えてくれる▼フランスのある風刺辞典が、「約束とは選挙の時に使われる小銭」と皮肉たっぷりに定義していた。こんな軽さに何度もだまされて、有権者はもう昔ながらのお人好(よ)しではない▼原発や消費税、TPPでの違いを「ささいなこと」と片づけて「敵の敵は味方」式に組む。そこに信を置けるだろうか。どこがどこと組むにせよ、拙速の運びが心もとない。「奇襲解散」は第三極をゆさぶり、時間で追いつめる。ナマズの思惑通り。そんな声も聞こえてくるが。