HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 55094 Content-Type: text/html ETag: "6f43a3-3acf-b2009040" Cache-Control: max-age=1 Expires: Fri, 16 Nov 2012 02:21:02 GMT Date: Fri, 16 Nov 2012 02:21:01 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
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2012年11月16日(金)付

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中国新体制―成熟の国への重い課題

高層ビルがそびえ、高級車が行き交う通りのすぐ裏手に、みすぼらしい家が立ち並ぶ。世界第2の経済大国になった中国だが、貧富の格差は絶望的なまでに広がっている。抗議活動は日常[記事全文]

赤字国債―予算改革の覚悟を示せ

国の予算編成で、税収などではまかなえない不足分を補う赤字国債の発行法案が、きょう成立する見通しだ。あわせて、年度ごとに法案を成立させる原則を改め、15年度までは赤字国債[記事全文]

中国新体制―成熟の国への重い課題

 高層ビルがそびえ、高級車が行き交う通りのすぐ裏手に、みすぼらしい家が立ち並ぶ。

 世界第2の経済大国になった中国だが、貧富の格差は絶望的なまでに広がっている。抗議活動は日常的に起きている。

 中国共産党のトップになった習近平(シーチンピン)総書記がかじを取るのはそんな危うさをはらむ大国だ。

 経済成長に突き進めばよかった時代はおわった。政治腐敗、経済の停滞、社会の不安。随所にひずみがたまり、中国は大きな転換点を迎えている。

 この大国を改革する処方を示し、大胆に実行する。それが習氏の使命だ。

 就任演説では「より良い生活へのあこがれを満たすことが、我々の目標だ」と語った。

 まず、なすべきは、民の声をしっかりと聞くことだ。

 習氏は父が元副首相という毛並みの良さで知られる。だが、文化大革命の混乱期に農村で6年間過ごした経験をもつ。父も一時失脚していた。権力が暴走する恐ろしさを、身をもって知っている。

 その体験を、この難しい時期を率いる指導者として生かせるかが問われる。

 党大会のあいだ、著名な人権活動家らが北京を離れさせられた。締めつけは依然厳しい。だが、インターネットの普及もあって、自由を求める知識層から主張する農民まで、さまざまな価値観が育っている。

 中国は、多様性を反映できる政治に向かうべきだ。一党独裁の殻に閉じこもったままでは、未来は開けない。

 総書記を退いた胡錦濤(フーチンタオ)・国家主席は今回の党大会で、20年までに国内総生産(GDP)と、個人の所得を倍増させる目標を掲げた。課題は、既得権層に集まる富を農民や労働者にもゆきわたらせる経済への改革ができるかどうかだ。

 中国はグローバル経済に深く組みこまれている。動向は国際社会に大きな影響を与える。混乱をだれも望まない。世界の期待にこたえる責任がある。

 日本とは尖閣問題で緊張が続く。習氏も前指導部で政策決定に参加しており、急に姿勢を変えることは期待できない。

 だが、国内の不満を外に向けて発散させる中国の手法は、商店や工場への乱暴で自国の経済や信用も傷つけた。内からの声に向きあう成熟を求める。

 日本では総選挙がある。双方の体制が落ち着けば、関係改善を図るべきだ。首脳が国際会議で顔をあわせても言葉を交わせない状態を、続けるわけにはいかない。

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赤字国債―予算改革の覚悟を示せ

 国の予算編成で、税収などではまかなえない不足分を補う赤字国債の発行法案が、きょう成立する見通しだ。

 あわせて、年度ごとに法案を成立させる原則を改め、15年度までは赤字国債が自動的に発行できるようになる。

 「ねじれ国会」のもと、参院で多数を占める野党が、赤字国債法案に反対して与党をゆさぶる事態が続き、今年度は予算の一部支出停止に追い込まれた。混乱を防ぐため、民自公3党がルール変更で合意した。

 私たちも社説で、赤字国債法案を政争の具にしない工夫が必要だと主張してきた。新ルールはひとつの知恵である。

 ただ、新たな仕組みで財政規律が失われてしまっては本末転倒だ。

 そもそも、なぜ赤字国債の発行に年度ごとの法律が必要とされたのか。

 赤字国債を戦後初めて本格的に発行したのは、石油ショック後の75年度。ときの大平正芳蔵相が「毎年、苦労して法案を成立させることで、赤字国債を抑制していこうという思いを致す」ために決断したという。

 そうした緊張感が、3党にあるだろうか。今回のルール変更の前提として「赤字国債発行の抑制に取り組む」とうたうが、はなはだこころもとない。

 たとえば、東日本大震災の復興予算である。

 被災地の再建に直接結びつかない項目が次々と明らかになった。復興基本法を巡る協議を通じて、幅広い事業を盛り込めるような予算編成に道を開いたのは3党である。国会のチェックもきかなかった。

 政府の予算案を国会がしっかり審議する。成立した予算の使い道に目を凝らし、決算を厳しく点検して、次の予算案に反映させていく。そんな循環を作っていく必要がある。

 新たな動きもある。

 復興予算の問題ではさまざまな党派の若手議員が動き、決算や行政監視を担う衆参の委員会で審議が実現した。超党派のグループは近く提言をまとめる。

 会計検査院の検査や行政刷新会議の検討も総動員し、効率的な予算と決算の徹底チェックを実現しなければならない。

 消費税が導入された後の91年度から3年間、赤字国債の発行はゼロになった。ところが、その後は発行が当たり前になり、今年度の予定額は38兆円を超える。5%の消費増税で新たに手にする税収の3倍近い。

 この財政の惨状にどう向き合うのか、各党とも総選挙で覚悟を示してほしい。

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