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天声人語

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2012年11月14日(水)付

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 汚れのない瞳がこちらを見つめてくる。写真家の長倉洋海(ひろみ)さん(60)から頂いた来年のカレンダーに、しばし見入った。アフガニスタンで南アフリカで、チベット高原で――、世界の子どもたちの月替わりの笑顔は、地上の星を見る心地がする▼長倉さんは長年、紛争の地や、きびしい暮らしを送る人々を撮ってきた。子どもに向けるまなざしはやさしい。「僕にとって写真は、希望を写し込むもの」と言う。小さな瞳から希望が消えれば、それはもう子どもではない▼だが、ゆゆしいことは多い。あまり知られていないが、今年は「国連識字の10年」の最終年になる。読み書きの教育も受けられぬ人を減らす区切りの年に、パキスタンでは少女銃撃という蛮行が起きた▼以前、インドの辺境へ支援に入った日本の女性が、現地の文字を書いたら驚かれた、と言っていた。外国人が書くからではない。「女が字を書く」からだった。貧困や因習で、とりわけ女子が就学できない理不尽が世界に残る▼字が読める母親の子は、乳幼児で死ぬ割合がかなり低くなると、先の本紙「私の視点」の寄稿に教えられた。識字は人が人らしく生きる拠(よ)りどころ。尊厳と言っても過言ではない▼長倉さんの写真を眺めていると、谷川俊太郎さんの詩が浮かぶ。〈子どもはなおもひとつの希望/このような屈託の時代にあっても……〉。学校に通えない子は地球上に6700万人を数える。数字は国際社会の恥であるとともに、大人の大罪を訴えてやまない。

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