HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52405 Content-Type: text/html ETag: "94306-1825-4ce4edcf9a21d" Expires: Mon, 12 Nov 2012 22:21:47 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 12 Nov 2012 22:21:47 GMT Connection: close 小沢氏再び無罪 検察審制度の見直しは早計だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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小沢氏再び無罪 検察審制度の見直しは早計だ(11月13日付・読売社説)

 国民の生活が第一の小沢一郎代表が、再び無罪となった。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る政治資金規正法違反事件で、東京高裁は1審の無罪判決を支持し、検察官役の指定弁護士の控訴を棄却した。

 判決は、土地購入原資として小沢氏が提供した4億円が簿外処理された事実を認めた。陸山会による政治資金のずさんな会計処理を指摘したものだ。

 その一方で、判決は、小沢氏が元秘書から取引の経緯について詳細な報告を受けていなかった、と認定し、「政治資金収支報告書の記載を適法と認識した可能性がある」と結論づけた。

 指定弁護士は上告の可否を検討するという。だが、上告は憲法違反や判例違反がなければ認められず、小沢氏の無罪が確定する見通しが強まったと言えよう。

 この裁判は、一般市民で構成される検察審査会の議決に基づき、政治家が強制起訴された初のケースだ。2度の無罪判決で、制度の見直し論議が再燃するだろう。

 しかし、公開の法廷で解明を求めた検察審の判断には、もっともな面があった。政治資金疑惑に対し、小沢氏が合理的な説明をしなかったためだ。

 政治資金規正法は、自由で公正な政治活動を実現するため、政治資金の公開制度を定めている。政党助成法の施行で、政治資金に国民の税金が投入されてからは、資金の流れの透明性を確保する要請が高まっている。

 陸山会が土地取引で億円単位の巨額の金を動かしながら、収支報告書に事実と異なる記載をしていたのは、規正法の趣旨に反する行為だったと言える。

 検察審制度には裁判員制度と同様、刑事司法に国民の視点を反映させる意義がある。強制起訴は6件にとどまる。まずは事例を積み重ねることが大切だろう。現時点で見直すのは早計である。

 ただ、限られた証拠での立証を強いられる指定弁護士の負担の重さなどを指摘する声がある。制度の改善に向けた検証は必要だ。

 今回の裁判で、批判されるべきは、検察審に虚偽の捜査報告書を提出し、起訴議決に疑念を抱かせた検察である。検察官による供述の誘導や強制も判明した。検察は猛省しなければならない。

 検察は虚偽報告書を作成した当時の検察官らを不起訴とした。この処分への不服申し立てが市民団体から検察審に出されている。検察審は厳正に審査すべきだ。

2012年11月13日01時32分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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