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天声人語

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2012年11月7日(水)付

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 とある車のテレビコマーシャルを見てヒヤリとなった。すると天野祐吉さんが、本紙連載の「CM天気図」でやんわりとそれを突いていた。派手によそ見をしながら運転し、あわやぶつかる寸前で自動的に止まる、という宣伝である▼「飛び出すな、車は急に止まれない」なんていう交通安全標語は、これからは余計なお世話になるのかもしれない、と天野さんは言う。その一方で心配する。「安全性が増したことで運転がお粗末になったりすることが、ないとは言えないだろう」▼車の安全性の向上は著しい。自動ブレーキは前方の物体を感知して、時速30キロ以下ならぶつからずに止まるそうだ。装着車は割高ながら、売れ行きはいい▼ブレーキが間に合わないとき、自動でハンドル回避する装置も開発途上にある。まぶたの動きなどで居眠りを検知する装置は、将来は自動で路肩に止める機能も加えるという。他にもあれこれ、至れり尽くせりの助っ人たちだ▼だが、世には「ジェボンズの逆説(パラドックス)」というのがある。省エネ技術が進むと逆に消費が増える、と述べる説だ。平たく言えば、低カロリーのお菓子があると、気を許して食べ過ぎ、かえって目方が増えるという皮肉。車も、せっかくの安全技術が野放図な運転を呼ぶようでは困ってしまう▼今の時代、ケータイにせよスマホにせよ運転中の誘惑は多い。プロが飛ばす旅客機でも自動操縦装置を過信した事故はままある。逆説の落とし穴は意外に広い。そう心得るのが賢明だ。

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