HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 05 Nov 2012 22:21:48 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:脳炎ワクチン 不安に応える説明早く:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

脳炎ワクチン 不安に応える説明早く

 日本脳炎の予防接種後に子ども二人が死亡した問題で、厚生労働省の専門家委員会はワクチン使用の継続を決めた。だが、副作用情報の迅速な公表と丁寧な説明なしに親の不安は解消できない。

 接種後の子どもの死亡例が七月と十月に二件続いた。死亡との関係を評価する専門家委員会は「ただちに接種を中止する必要はない」と判断した。

 七月の事例は九歳未満児が接種後、発熱などを起こし急性脳症と診断され一週間後に亡くなった。「接種との関連は不明でさらに検討する」と決めた。

 十月の十歳男児の事例は、服用する薬の影響が指摘され、「接種との関連は低い」と判断した。

 日本脳炎ワクチンは、重い副作用が問題化し二〇〇五年に厚労省が定期接種を中断した。

 〇九年から新ワクチンが使われている。これまで約千四百万回接種され、重い副作用が疑われる報告が十一件ある。その発生状況などから接種の継続を決めた。

 日本脳炎は蚊が媒介して人に感染する。患者数は年間数人から十人ほどだが、感染しても症状がでない人も多く感染者はもっと多いはずだ。感染して脳炎になると致死率は約18%にもなる。

 子どもには危険な感染症だ。副作用への心配より接種による予防が優先されることは分かる。

 ただ、接種を続ける判断だけ示されても親たちの不安が消えるわけではない。

 今回、十月の死亡例が判明後に七月の事例が公表された。子どもが亡くなっているのだ。親はその状況やワクチンの危険性などを具体的にすぐに知りたい。厚労省の対応は後手に回った。

 今後は情報をより早く集め、死亡例などはすぐに調べ、検証を行う専門家の検討会を年一回から三回に増やす改善を表明した。対応は遅すぎたくらいだ。同時に検証結果の丁寧な説明も欠かせない。

 情報の集め方にも課題がある。報告すべき副作用情報かどうかの判断は現場に任されている。確実な収集の仕組みにも知恵を絞るべきだ。解剖などの検査データも不十分な場合があり、検証の精度を上げる努力が要る。

 現場の医師も十分な問診を心掛け、受ける側も子どもの状態を説明する責任がある。接種時の注意点は母子健康手帳に記載がある。活用してほしい。

 予防接種制度の信頼性を高めるには、正確な情報を早く公表し国民と共有することが前提だ。

 

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