HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 02 Nov 2012 21:21:47 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:エレベーター禍 消費者事故調の出番だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

エレベーター禍 消費者事故調の出番だ

 金沢市のホテルで起きたエレベーター死亡事故をめぐり、先月発足した国の消費者安全調査委員会(消費者事故調)も調査に乗り出した。被害者、消費者の視点に立ち徹底調査してもらいたい。

 エレベーター事故が起きた翌一日、事故調は情報収集のため現地に職員を派遣した。八月に消費者安全法が改正され、消費者庁に発足してから一カ月、初の出動だ。

 今回の事故は業務用エレベーターで起こり、死亡した従業員も勤務中だった。労災に当たる可能性が高いことから、日常生活の事故を扱う事故調の「守備範囲外」との見方もあった。

 だが、事故機は二〇〇六年に東京都内で高校生が挟まれ死亡したシンドラー社製。事故調が発足するきっかけにもなったメーカーの製品だ。消費者庁という組織は行政にすき間をつくらないという趣旨で始まっている。事故の究明は被害者たちの望むこと。事故調のあり方や今後の方向性を探るためにも派遣を決めた。

 調査では警察などと情報の共有も必要になるが、目的は捜査機関のように刑事責任の追及や処罰ではない。必ずしも捜査対象になってこなかった組織の体質や作業管理のあり方など、問題の背景にまで踏み込み、事故が再び起きないよう対策を講じることにある。

 今回の事故機は一九九八年に設置され、安全装置の二重化が義務付けられた二〇〇九年の法改正前の機種だ。この装置がなくても違法でない「既存不適格」の機種は全国に七十万台ある。装置の追加に数百万円がかかることなどが改修の進まない原因とされている。どう改善を進めるかも課題だ。

 委員は、政府の東京電力福島第一原発事故調査・検証委員会の委員長を務めた、畑村洋太郎東大名誉教授ら七人。事故ごとに構成する専門部会が調査を担い、対象は航空や船舶、鉄道の事故以外ならすべて、生命や身体にかかわる事故を扱う。

 暮らしが多様になれば新しい事故も起きる。ガス湯沸かし器事故、ゼリーの窒息事故…。消費者側に寄り添い調べる仕組みが整わなかった時代には、事故が発覚したときには被害が広がり、原因究明も被害者の求めるようにできないこともあった。

 事故調は首相や関係省庁に施策や措置について勧告や意見もする。この強い権限を業者側でなく、消費者の立場から貫くことだ。エレベーター事故への対応はその試金石になる。

 

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