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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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手前味噌(みそ)めいてしまうが、朝日小学生新聞がなかなかおもしろい。硬派のニュースも結構あり、先日は1面トップで震災の復興予算を取り上げていた。直接関係のない事業にも使われてやり玉にあがっている問題だ▼奇妙さは子どもにもわかりやすい。文房具を買うのにもらったお金でお菓子を買う。それはまずいと誰でも思う。おかしな言い訳をすれば親の怒りに油を注ぐことも想像がつく。だが悲しいことに、日本の政と官の現実である▼反捕鯨団体の妨害活動への対策(農水省)やら、国立競技場の補修(文科省)やら、えっと驚くのが色々ある。法務省は受刑者の訓練用にショベルカーを購入していた▼言い訳に「受刑者の7割が被災地での就労を希望している」とアンケート結果を示した。ところがそれは、問題になってから慌てて実施したというから呆(あき)れる。法の元締が下手な「アリバイ作り」をやってどうする▼それもこれも、もとはといえば復興基本法が文言(もんごん)巧みに「流用」を認めているためだ。政治家をラッセル車にして霞が関は省益を図り、血税という蜜壺(みつつぼ)に巧妙にストローを突っ込む。共存共栄の体質は、国家的な危機にも変わらないらしい▼そして、より大きい蜜壺にも舌なめずりの目が光る。消費増税は財政再建と社会保障のためだったはずが、抜け目ない付則が加わって、諸々(もろもろ)の事業が割り込む気配だ。大借金をゆくゆく背負うのは小学生新聞の読者世代。未来からの怨嗟(えんさ)の声は、加齢による空耳ではない。