HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52506 Content-Type: text/html ETag: "adb2a-188f-4cd63338ca047" Expires: Thu, 01 Nov 2012 02:21:53 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 01 Nov 2012 02:21:53 GMT Connection: close 古典の日 伝統文化への理解を深めたい : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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古典の日 伝統文化への理解を深めたい(11月1日付・読売社説)

 今日は、古典の日だ。「紫式部日記」の1008年11月1日の項に「源氏物語」についての記述が登場していることに由来する。

 先の通常国会で古典の日に関する法律が超党派の議員提案で成立した。

 古来の優れた文学や音楽、美術、伝統芸能などを古典と定義し、国民に古典への理解を深めてもらうのが新法の趣旨だ。

 長い歴史の試練を経て継承されてきた古典は、人間の叡智(えいち)の結晶と言える。古典を通して(いにしえ)の人々の心に触れることは、新しい文化を創造する礎にもなろう。

 文化庁は記念シンポジウムを開催する。各地でも伝統芸能の上演など多彩な行事が催される。芸術の秋の一日、古典の魅力に接してみてはいかがだろうか。

 古典と聞いて、多くの人が「源氏物語」や「枕草子」などの文学を思い浮かべるだろう。誰もが学校の授業で習うが、大人になると、なかなか読む機会もないという人がほとんどかもしれない。

 人々が古典に関心を持ち続けるには、やはり学校教育の中でその魅力を分かりやすく教えていくことが大切だ。小中学校の新しい学習指導要領も、伝統や文化に関する教育の充実を掲げている。

 京都市は今年から、公立の全小中学校で華道や茶道などの体験学習に取り組むことを目標に掲げた。東京都世田谷区では、独自の教材を作り、小学校で和歌、俳句、論語、漢詩などを教える授業が定着している。

 能や歌舞伎の鑑賞教室を積極的に実施するなど、各学校で工夫を凝らし、古典学習をさらに拡充していくべきだろう。

 新法は、国民が古典に親しむことが出来るよう、国や自治体が必要な措置を講じる努力をすることを求めている。伝統芸能の存続のために人材育成などで一定の支援をしていくことも大事だ。

 橋下徹大阪市長が大阪発祥の人形浄瑠璃文楽に対する補助金凍結を打ち出した問題は、文楽関係者との意見交換の結果、凍結解除の方針が示された。

 文楽界を「特権階級」として敵視するかのような橋下市長の発言には行き過ぎもあったが、補助金の使途を透明化すべきだといった指摘にはうなずける面はある。

 文楽のみならず伝統芸能、伝統文化をいかに次世代に継承、発展させていくか。この課題に応えるためには、官民共にもっと議論を深めていく必要がある。

 初めて迎えた古典の日には、そんなことも考えたい。

2012年11月1日08時23分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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