HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52566 Content-Type: text/html ETag: "ad7cc-1898-4cd491da6eef4" Expires: Wed, 31 Oct 2012 01:21:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 31 Oct 2012 01:21:08 GMT Connection: close 高齢者の医療費 「世代間格差」の改善が必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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高齢者の医療費 「世代間格差」の改善が必要だ(10月31日付・読売社説)

 高齢化で膨らむ医療費の負担を世代間で公平にすることが急務だ。

 政府の財政制度等審議会が、70〜74歳の医療費の窓口負担を1割に抑える特例措置を廃止し、法律の規定通り2割負担にすべきだとの見解で一致した。財務相に近く措置の見直しを提言する。

 医療費の大半を賄う現役世代の負担が過重になるのを防ぐため、高齢者に応分の負担を求めることはやむを得ない。

 後期高齢者医療制度が始まった2008年、医療機関で払う窓口負担は70〜74歳がそれまでの1割から2割に、75歳以上は従来通り1割とすると法律で決まった。

 だが、当時の自公政権は国民の反発を恐れ、70〜74歳の負担を1割に抑える特例措置を決めた。

 民主党政権も継続している。

 この結果、1人当たりの平均収入に占める患者負担割合は、65〜69歳の3・8%、75歳以上の4・6%に対し、70〜74歳は2・4%と、格段に低い。(ひず)みが広がっていると言えよう。

 三井厚生労働相は、この問題について、記者会見で、特例措置の見直しに慎重な姿勢を示した。次期衆院選を控えて、高齢者に新たに負担を求めることは避けたいからだろう。

 だが、特例措置を維持するため、毎年約2000億円の国費が投入されている。財政赤字を拡大させる要因になっており、そのツケは将来世代へ回ることになる。

 高齢世代は、若い世代に比べて、税や保険料の負担を上回る年金や医療サービスを受けることができる。窓口負担の特例措置は、世代間の格差も助長するものだ。

 やはり、特例措置を見直し、負担の引き上げを決断すべきだ。政府は、負担を引き上げる場合は、今後70歳になる人から順次行い、既に70歳を超えた人は対象にしないことを検討している。

 日本人の外来受診回数は、英米を大きく上回り、医療費の増加や医師不足につながっている。窓口負担の引き上げで、不要不急の受診を防ぐ効果も期待できよう。

 無論、症状が重く、通院を減らせない人もいる。その場合には、75歳未満であっても、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度に移行し、負担を抑える仕組みを活用してはどうか。

 一方、公的年金も、本来より高い給付水準に据え置く特例措置により、過払いになっているという問題もある。医療、年金財源の負担を将来世代に先送りし続けることは、もうやめるべきである。

2012年10月31日01時16分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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