HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 31 Oct 2012 01:21:04 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:追加金融緩和 いかにも中途半端だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

追加金融緩和 いかにも中途半端だ

 日銀が二カ月続けて金融緩和を決めた。政府の財政出動が期待できない中で欧米並みの大胆な緩和が期待されたが、とても十分とはいえない。物価安定のインフレ目標を引き上げるべきだ。

 大胆に十五兆円以上かと期待された資産買い入れ基金の増額は、中途半端な十一兆円−。「アリバイづくりではないか」と思えてしまう対策である。

 日銀が異例の二カ月連続の追加緩和に踏み切ったのは、世界経済の減速に日中関係の悪化も加わり、景気と物価の先行き懸念が強まったためだ。政府の緊急経済対策に歩調を合わせ、強力な緩和策が待ち望まれていた。

 それなのに出てきたのは、国債などの資産買い入れ基金の小幅増額と、金融機関の貸し出し増加を促す新たな基金創設である。「日銀も対策は打ってます」というような姿勢では、デフレからの脱却はもちろん、景気の下支え効果も期待できない。

 日銀は同日、二〇一四年度までの物価見通しが0・8%上昇と、目標の1%には届かないと発表した。デフレはすでに十五年に及ぶが、この先も脱却への道筋が描けていないということだ。

 今回の追加緩和で、資産買い入れ基金は九十一兆円になった。国債に加え、比較的リスクの高い上場投資信託(ETF)などの購入枠拡大も決めた。基金は一〇年十月の創設以来、小出しに規模を拡大してきた。だが基金以外のところで資金を絞っているため、基金の拡大ほど緩和はされていない。

 これは欧米との比較でも明らかだ。リーマン・ショック後にどれだけマネーを供給したかをみると、欧州中央銀行(ECB)は約二倍に、米連邦準備制度理事会(FRB)は約三倍に増やしたが、日銀は横ばいに近い。短期間に強力な緩和を行った欧米との落差は顕著だ。やはり物価目標を現行の1%から、他国並みの2〜3%に引き上げるべきである。

 日銀と政府は、デフレからの早期脱却に向け「一体となって最大限の努力を行う」とする共同文書を発表した。両者が政策目標を共有するのは当然であり、今更との感はあるが歓迎したい。政府が経済政策に沿ってインフレ目標を日銀に働きかけ、日銀がその政策手段を決め実行していく。

 デフレの十五年は、政府が日銀の金融政策をそしり、日銀はアリバイづくりに終始した。そんな不毛な関係に終止符を打つことが第一歩になる。

 

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