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大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。会員登録すると、過去50日間分の天声人語のほか、朝刊で声やオピニオンも読むことができます。
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いつの間にか、という表現がぴったりする。ハロウィーンの日本への浸透ぶりだ。この季節に商店街を歩くと、あちこちからお化けカボチャが笑いかけてくる。アメリカでは、子どもたちが仮装をして近所を回る楽しい行事だ▼「トリック・オア・トリート(お菓子くれなきゃ、いたずらするぞ)」と、キャンディーやチョコをねだって歩く。だが、気になる話を在米中に聞いた。せっかくもらっても子どもに食べさせない親が、昨今はいるらしい▼何かが混入されていないか心配なのだという。言われてみれば悪意の入り込む隙はある。実際に事件があったのかは知らないが、体感治安が悪化しているようだ▼もっとも米国では、子どもが連れ去られる事件だけで年に数万件もあり、親の不安はうなずける。そして日本も「対岸の火事」ではない。警察庁によれば、小学生の犯罪被害は今年の上半期だけで9千件に迫っている▼とりわけ放課後や塾帰りは危ない時間帯だという。情報技術を駆使して居場所を確認し、安全を見守る。そうしたサポートも増えていて、ランドセルのまま道草を食って遊んだゆるやかさは、もう過去の話らしい▼ハロウィーンに話を戻せば、もとは悪霊を追いはらう行事でもある。米国では「コミュニティーのお祭り」の色合いが濃い。日本でも、地域など、子どもを育む共同体で楽しめば、つながりも深まろう。それが子を守る力にもなっていく。悪鬼のつけ入る隙をみんなのスクラムで封じたいものだ。