高熱や激しい咳(せき)を引き起こすRSウイルスやマイコプラズマ肺炎の感染症患者が急増している。風邪のような症状だが、重症化する心配がある。冬の流行期を前に感染症にもっと注意を払いたい。
乳幼児だと四〇度を超す高熱や激しい咳に見舞われる。症状から風邪だと思いがちだが、感染症も疑ってほしい。
乳幼児に多いRSウイルスが今、猛威を振るっている。国立感染症研究所によると、患者数は昨年から二年連続して夏から増える傾向にある。
全国約三千の医療機関からの一週間ごとの報告数は今年、九月以降に急増している。十月初めの一週間は五千例を超えた。一カ月前の約二・五倍で、五千例超えはこの十年間で初めてだ。急激な感染の広がりを見せている。
症状の特徴は高熱や咳など風邪の症状と似ている。感染力が強く、特に一歳未満児や心肺に基礎疾患のある小児は、重い呼吸器疾患を引き起こすことがある。
この感染症には効果的な治療薬はなく、対症療法が中心だ。重症化すると入院が必要な場合もあり、乳幼児のいる家庭は体調変化にも気を付けてほしい。
マイコプラズマ肺炎は、オリンピック開催年に大流行していたが、最近は流行の仕方が違う。
毎年のように各地で流行を繰り返す。冬場に多いのは同じだが、通年で感染が広がっている。
医療機関からの報告数は昨夏以降、一九九九年の調査開始以来最も多い状態が続いている。栃木、群馬、岐阜、愛知、静岡各県の報告数は全国平均を上回っている。
この肺炎は細菌によって起こる呼吸器感染症だ。高熱や咳、頭痛などの症状は風邪と似ている。長引くと中耳炎や髄膜炎を引き起こすことがある。患者の約八割は十四歳以下だが、成人もかかる。
効果のある抗菌薬は一部に限られていて、適切な投薬には医師による正確な診断が要る。感染症を疑って受診することが大事だ。
職場や学校などで広げないよう咳がでていたらマスクを着ける気配りが求められる。うがい・手洗いも欠かせない。
インフルエンザの流行期も迎える。予防接種などできる対策は早めにしておきたい。
保護者は子どもが通う保育所や幼稚園、学校、かかりつけ医に流行状況を聴くなどして注意を払ってほしい。慌てず対処するためには、感染症の知識や心構えを持っておく必要がある。
この記事を印刷する